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「この子は関係ないっ。それに…あんたは、六年前に銀ちゃんにヒゲを抜かれて力が使えない筈だろっ。なのになんで、こんなことが出来るんだよっ」
「ああ、そうだ…。ヒゲを抜かれたせいで、俺は全ての力を失った。ずいぶんと情けない時を過ごしたよ…。だけど、あれから六年も経ったんだ。これだけの長い年月、大人しくしてたら、さすがにもう大丈夫だと思うだろ?蔵翔(くらと)に頼んだら、すぐにヒゲを返してくれたよ」
二人が何の話をしてるのか、僕には全然わからない。だけど、ヒゲって…。さっき、たかきよくんのお父さんが、「ヒゲがないから何の力もない」って言ってたのに!この男の人は、ヒゲが戻って力が使えるじゃんかっ。
「おまえっ、凛に何かしたら許さないぞ!」
「青藍っ、ダメっ」
透明のヒモで空中に縛り上げられたまま、僕は男の人を睨みつけて大きな声を出した。
「…天狗って、本当にムカつく種族だよな…。俺さ、銀色の天狗が嫌いなんだよね。あいつ、俺のヒゲを抜いたし、俺の凛を奪ったし」
「お、俺は、あんたの物なんかじゃないっ!銀ちゃんの物だっ。あんたが、勝手にそう思い込んでただけじゃないかっ」
凛が叫んで、男の人から離れようと暴れる。
男の人は、凛の腕を強く引いて抱き寄せた。凛の耳に口をつけて、低い声を出す。
「相変わらず反抗的だな。ふっ、六年経っても可愛いし…。今度はね、凛が抵抗したら、殺して身体だけでも連れて行こうと決めてるんだ。なぁ凛、どっちがいい?このまま俺と来るか、殺されて身体だけ連れて行かれるか…」
「やめろっ、バカっ!凛から離れ……わぁっ!?」
急に透明のヒモが水になって、僕の身体が地面に落ちる。お尻を強く打った僕は、お尻を撫でながら立ち上がり、男の人を睨んだ。
「青藍っ、大丈夫っ?」
「大丈夫だよ、凛。すぐに助けてあげるね」
「…おまえ、あの銀色の天狗の子供だろ?あいつ、凛がいながら他の女に子供を生ませたのか…。ひどい奴だな。凛、俺はおまえだけだ。他の奴を抱いたりしない…」
「はっ?銀ちゃんの子供じゃないって言ってるだろっ!銀ちゃんは俺だけを愛してくれてるし、俺も銀ちゃんだけだっ!」
凛の言葉に、男の人の動きが一瞬止まる。僕は、その隙を狙って、思いっきり体当たりをした。でも、男の人は、少しよろけただけで、凛を抱く腕を離さない。
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