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「やっ、やめろっ…!天清!青藍!」
「あっ!ま、待って…っ!」
たかきよくんのお父さんと凛が、同時に叫ぶ。
二本の水のナイフは、それぞれ僕とたかきよくんに向かって飛んで来て、僕達の肩に深く突き刺さった。
「あっ!い…っ」
「えっ…?う、うわぁんっ!いたいよーっ!」
肩に刺さったナイフは、すぐに水となって流れて消えた。
刺された肩は、鋭い痛みを感じた後に、燃えるようにヒリヒリと熱くなる。僕は唇を噛んで、何とか痛みに耐えた。
だけど、まだ小さいたかきよくんには、とても我慢出来るものじゃない。
その場に座り込んで肩を押さえ、大きな声をあげて泣きじゃくるたかきよくんが可哀想で、傍に行って抱きしめたくなった。
たかきよくんの泣き声に、慌ててたかきよくんのお父さんが駆け寄る。ポケットから出したハンカチを傷口に押し当てて、男の人をきつく睨んだ。
「てめぇっ、やっぱり頭がイカれてやがる!こんな小さな子に容赦なく手を出しやがって!許さねぇ…」
「は?おまえに何が出来る?ほら、俺が怖いのだろうが」
「もうやめて…。お願いだから、青藍を離して…」
震える声に下を向くと、凛が白い顔を歪めて泣きながら僕を見ていた。
「なら、俺と共に来るか?」
男の人の言葉に、凛は小さく頷く。
途端に僕の腕に巻きついていたヒモがパシャリと水になって、足元にいた凛が、僕の身体を受け止めた。
僕を地面に降ろし、自分の着ているシャツを脱いで僕の肩に押しつける。
掌で僕の顔を拭って、「ごめんね」と何度も謝ってくる。
「…凛の、せいじゃないよ…」
苦しいながらも、何とか笑顔を見せる僕をみて、凛はもっと涙を流した。
肩が痛くて僕の方が泣きたい筈なのに、あまりにも凛が泣くから、隣で座り込むたかきよくんが泣きじゃくるから、僕の涙は引っ込んでしまった。
それが何だかおかしくて、ふふ…と笑ったその時、一陣の風が、僕達の周りに吹いた。
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