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二人の絆 1
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「青藍っ!一緒に帰ろっ」
「うん、いいよ」
身体よりも大きなリュックを背負って、天清が僕の傍へ駆け寄ろうとする。
僕は、玄関を出たところで足を止めて、靴もちゃんと履かずに慌てる天清を見て笑った。
「天清、危ないから靴履きなよ」
「う、うんっ。ちょっと待ってて」
急いでかかとを踏んでいた靴をちゃんと履いて、天清が照れ笑いをする。
「青藍、今から青藍の部屋に行ってもいい?一緒に宿題しよ?」
「いいけど…。同じ学年の子と遊ばないの?」
「遊ばない。だって俺は、青藍と遊びたいし」
「ふ~ん…。ふふ」
学校に入ってから『俺』と言い出した天清に、クスリと笑いが漏れる。
丸い顔が少し細くなったとはいえ、まだまだ幼い仕草が残る天清が、『俺』と言っているのが微笑ましい。
天清を見て顔を綻ばす僕を、天清がジーッと見つめていることに気づき、コテリと首を傾けて聞く。
「…なに?」
「ううん、なんでもないっ。早く行こ」
パッと目を逸らせた天清の耳が赤くなっている。その耳に触れようと伸ばした僕の手を、天清が強く握ると、グイッと引いて駆け出した。
この春から天清は、僕が通う妖が集まる学校に入って来た。
この学校は、七歳を過ぎると入学出来る。僕のお父さんや銀おじさんは、十歳でこの学校に入ったそうだ。
天清が『一緒に入ろう』と煩かったけど、僕は、七歳になるとすぐに家を出て、この学校の寮に移った。天清は怒っていたけど、僕は早く強くなりたかったから、天清が七歳になるまで待ってなんていられない。
そして二週間前に七歳の誕生日を迎えた天清が、すぐに僕の住む寮に移り住んで来た。
別に、妖だからと言って、必ずこの学校に入る必要はない。人間が好きだからと人間界の学校に通っている者もいる。
でも、僕も天清も強くなりたいという思いがあったから、強くならなければいけないという使命もあったから、この学校を選んだんだ。
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