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「いるよ。ちょっと待ってて」
「おう」
ドアの外の声に答える僕に、天清が渋い顔をする。立ち上がろうとした僕のシャツを掴んで、「誰?」と聞いてきた。
「ん?同じクラスの柚葉(ゆずは)だよ。この学校に来てからの、一番の友達」
「ふ~ん…」
僕の話を聞いて、なぜか天清は、口を尖らせて黙ってしまった。
笑ったり泣いたり拗ねたり忙しいヤツだな…と内心呆れながら、僕は立ち上がってドアの前に行き、ドアを開ける。僕の目の前で、柚葉が笑顔で片手を上げていた。
「よお、青藍」
「どうしたの?」
「どうしたのって…。今日、早く学校が終わっただろ?だから遊びにき…た…。ごめん。先約がいたんだ…」
「うん。あの子、僕の幼馴染みの天清って言うんだ。天清、同じクラスの柚葉。天狗だよ」
天清は、ものすごく不貞腐れた顔をして、ゆっくりと僕の傍に来る。そしてペコリと軽く頭を下げて、「見たらわかる…」と呟いた。
「へぇ、天清くんは妖狐だろ。種族の違う二人なのに、幼馴染みなんだ?」
「…だから、なに?」
僕の腕を掴みながら、天清が柚葉をギロリと睨む。柚葉に対して失礼な態度を取る天清をいさめるように、天清に向かって、僕は小さく首を横に振る。
天清は、何か言いたげに一度口を開いてから、キュッと口を結んでそっぽを向いてしまった。
僕は、小さく溜息を吐いて柚葉を見る。そして、片手を顔の前に上げると、苦笑いをして謝った。
「ごめん、柚葉。今日は天清と宿題をするんだ。また今度ね」
「…まあ、先約があったなら仕方ないよな。じゃあ、次は俺と遊べよ。約束」
「うん、約束」
僕がそう言うと、柚葉は笑って自分の部屋へと帰って行った。
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