アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
9
-
翌日、学校が終わって教室を出ようとした所で、柚葉が声をかけてきた。
「青藍、今日は俺と遊ぼうぜ」
「いいよ。何する?」
昨日断ったこともあって、僕は快く承諾する。
柚葉が、僕の顔を見てニヤリと笑い、顔を近づけてきた。
「なあ、今日はあの山まで飛んでみねぇ?前々から行ってみたかったんだよな。でも、さすがに一人じゃ怖いしさ…。青藍、そこそこ強いし一緒に行こうぜ」
「…山…」
僕は顔を横に向けて、廊下の窓から見える、そこだけどんよりとした黒い雲がかかる山を見た。
この学校は、周りをぐるりと山に囲まれている。人間は、絶対にこの場所へと来れないようになっているのだ。
その山々の中に、常に黒い雲がかかり、怪しい雰囲気を漂わせる山があった。
生徒達の間では、「あの山には恐ろしい鬼がいる」とか、「妖ではなく、力の強い山の神が、この学校を見張っている」とかのいい加減な噂が出回っていた。
確かに僕も、あの山の事はすごく気になる。行きたいとは思うのだけど…。
「でもあそこって、学校の結界の外だよね。結界からは出れないよ?」
僕は、視線を柚葉に戻して、疑問を口にする。
柚葉は、またニヤリと笑って、得意げに言った。
「大丈夫。俺、結界を抜ける術を覚えたんだ。何人も同時には無理だけど、一人くらいなら抱えて抜けれる」
「えっ、すごい!いつ覚えたのっ?僕にも教えてよ」
「いいぜ。今日、見せてやるから覚えろよ。で、どうする?一緒に行かねぇから教えないけど」
「う…、わかった…。行くよ」
「よしっ。そうこなくちゃな。じゃあ、帰って着替えたら、青藍の部屋に行くよ。寮の屋上から飛んで行こう」
「うん、じゃあ後でね」
笑顔で頷いて、柚葉が廊下を走って行く。
僕は、柚葉の後を追うように足早に歩きながら、初めは不安だった気持ちが、だんだんとワクワクしたものへと変わり始めているのを感じていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
39 / 207