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僕と柚葉は、暖かい陽射しが降り注ぐ寮の屋上に立っていた。ジッとしていたら眠くなりそうな陽気だけど、時おり冷気を孕んだ風が吹いて、僕と柚葉の髪を揺らす。
僕はフードつきのトレーナーとズボンを履いて、手ぶらなのに対して、柚葉はTシャツの上に長袖シャツを羽織り、カバンをたすき掛けにしている。
「柚葉、カバンに何入ってるの?」
「お菓子とジュース。面白そうな場所があったら、そこで食べようぜ」
柚葉の呑気な様子に、僕は苦笑する。
柚葉は僕よりも頭一つ分大きくて、そのせいかよく食べる。僕も大きくなりたくて、頑張って食べようとするのだけど、すぐにお腹がいっぱいになってしまう。
今から謎の初めての場所に行くというのに、緊張しないのだろうかと柚葉の顔を見た。
「なに?」
「ちょっとだけ緊張しない?」
「全然。すっげー楽しみっ。そろそろ行くぞ」
そう言うと、柚葉がバサリと黒い翼を開く。
僕も翼を出して広げ、先に宙に舞い上がった柚葉の後に続いて、飛び上がった。
柚葉が、かなりの速さで目的の山へと飛んで行く。僕は、遅れないように翼を動かして、柚葉の隣に並んだ。
十分程飛んだ所で、柚葉がピタリと止まる。
僕は、少しだけ行き過ぎてしまい、慌てて止まって振り返った。
「柚葉、結界まで来たよ。どうするの?」
「うん…。青藍、俺の傍に来て。で、俺と同じように指を組んで」
柚葉の言う通りに柚葉の傍に行き、柚葉が組んだ指を見て真似をする。
柚葉が僕の組んだ指を見て頷き、一旦自分の指を解いて僕と腕を絡める。そして、再び指を組むと、「行くぞ」と呟いて、真っ直ぐ前に突進し始めた。
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