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「だっ、誰っ!?」
僕と柚葉で首を巡らせて見るけど、姿が見えない。
「え?今、確かに声がしたよな?」
「う、うん…、聞こえた…。でも、誰もいないよ?」
二人で身体を寄せ合って、当たりを見ながら囁き合う。
「誰もいないことはない。ここにいるぞ?」
「「ひっ!」」
僕達のすぐ真後ろから声がして、声を上げてそれぞれ両側へと飛び退いた。
「だっ、誰だよ!姿を見せろっ」
「ふっ、中々威勢のいい子供だ。おまえ達、山の向こうにある学校の者か?確か、ここに来る途中に学校の結界が張られていた筈だが…」
「へっ、あんな結界なんて、簡単に抜けれるさ」
「そうか、おまえは優秀な子供なんだな…」
姿の見えない相手と会話を交わす柚葉に、首を振って相手にするなと伝える。だけど柚葉は、僕と目を合わさずに、益々大きな声を出した。
「なあ、あんた妖だろ?俺達はあんたに敵意はない。すぐにここを離れるから、見逃してくんねぇかな?」
「ふむ…、度胸もあるようだ。そうだな、眠りを邪魔されたのは少し腹立たしいが、子供相手に怒ることでもない。おまえは、帰っていいぞ」
「へ?あ、どうも…。じゃあ帰るぞ、青藍」
一瞬、ポカンとした後に、柚葉が僕の腕を引いて翼を出す。僕も翼を出して飛び上がった瞬間、強く足を引っ張られて地面に肩から落ちた。
「あっ!…いっ…たぁ…っ!」
「青藍っ!」
強打した左肩を押さえて呻き声をあげながら地面に倒れる僕の元へ、柚葉が近づこうとすると、「寄るなっ!」と言う鋭い声と共に、男の姿が現れる。
痛みでこめかみから流れ出た汗が目に入り、視界が滲む。ぼやけた視界の先にいたのは、肩まで伸びた銀色の髪に水色の着物を着た、スラリと背の高い若い男だった。
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