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その男が、僕と柚葉のすぐ傍に来て、固まる柚葉に笑いかける。
「おまえは帰っていいと言ったぞ。早く行け」
「え?」
驚いた柚葉が、小さく声を発した後に、慌てて大きな声を出した。
「いやいや、何言ってんだよっ。てか、なんで青藍の足を引っ張ったんだよ!俺達は何もしてないだろっ。…青藍、大丈夫?立てるか?」
柚葉が膝をついて、僕の背中を支えて起こす。
「…つっ!」
強打した左肩がズキン!と痛んで、僕は顔を歪めた。
柚葉に支えてもらいながら、左肩を押さえてゆっくりと立ち上がる。痛みに額から汗を流し、小さく唇を震わせて、男の人に問う。
「…僕達はすぐに帰ると言った…。あなたも帰っていいと言った。なのになんで…足を引っ張ったの?」
隣で僕の背中を支える柚葉が、心配げに僕と男を交互に見る。
男から微かな笑顔が消え、射殺されそうな程の鋭い視線が、僕に向けられた。
「俺は、そこのもう一人のガキに帰っていいと言ったのだ。おまえには言ってない」
「なっ!ど、どういう事だよっ!」
痛みと得体の知れない恐怖に、だんだんと息が荒くなる僕の代わりに柚葉が尋ねる。
「おまえには関係のない事だ。早く立ち去るがいい。でないと、巻き添えを食うぞ?」
「だから何のことだよっ!巻き添えって意味わかんないっ。青藍っ、こんな奴放っておいて早く帰ろう!」
柚葉が、僕の右脇に自分の肩を入れて、バサリと音を立てて翼を広げる。
僕も何とか力を込めて翼を広げた瞬間、柚葉の身体が後方へと大きく飛んだ。
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