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「うわぁ!…ぐっ」
「っ!?柚葉っ!」
強く地面に背中を打ちつけて、柚葉が苦しそうに声を上げる。
僕は、柚葉に駆け寄ろうとした動きを止めて振り返り、背後に立つ男の顔を鋭く睨んだ。
「…なんでこんな事をするの?僕達を帰す気なんてないんだろ…」
「は?だから先程から言ってるじゃないか。あいつは帰っていい。おまえはダメだと」
男が、蹴り飛ばした形に上げていた足を降ろして、僕を睨み返してくる。
僕は、肩の痛みで小刻みに震える左手の拳を固く握りしめると、大きく息を吐いた。
「僕がダメな理由はなに?あんたには、初めて会ったと思うんだけど」
「そうだな。俺も、おまえとは初めて会う。だが、よく知ってるぞ。おまえは、尊央(たかお)様をあの様な姿にした天狗の仲間だろう?」
「…尊央?」
どこかで聞いたことがあるような名前を耳にして、僕は微かに首を傾ける。
ーー尊央…?どこで……。あ!そうだっ。銀おじさんから聞いたんだ。確か、凛を連れ去ろうとした龍の妖の名前が尊央だったはず…!
バッと身体の向きを返して、僕は男の真正面に立ち、「だから?」と震える声を隠すように大きな声を出した。
「あの様な姿って、龍であるその人がヒゲを抜かれたこと?ヒゲを抜かれて、全ての力を失ったんだよね?でもそれは、その龍が悪いんだよ。一度は許してもらったのに、また悪い事をしたんだから…」
「…うるさい」
男が低く呟くと同時に、お腹に強い衝撃を受けて、今度は僕の身体が後方へと大きく跳んだ。
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