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「…龍の…眷属?」
ーー学校の授業で聞いたことがある。確か、龍の眷属って…水虎?こいつは水虎なの?だから、アイツと関わった僕を狙ってくるの…?
僕は、どう切り抜けようかと考えながら、男の気を逸らすように質問する。
「なに…?あいつの敵討ちとかいうヤツ?」
「…ああ?無礼な口を聞くなっ。俺は、尊央様に恥をかかせた奴らを腹立たしく思っていたのだ。そうしたら、たまたま今日、俺の前におまえが現れた。こんないい機会は滅多にないだろう?おまえを殺れば、少しは尊央様の気も晴れるかもしれんしな」
「ふぅ…、くだらないなぁ。あんたもあの龍も執拗いよね。自業自得って言葉、知ってる?自分が悪いんだから、ちゃんと反省して大人しくしててよ」
「…口の減らないガキめっ。たとえ恨みがなくても、おまえみたいなガキは嫌いだ。動かなくなったおまえの翼をもぎ取って、尊央様への手土産としよう。その後に、おまえを銀色の天狗の前に晒してやる」
口の両端を吊り上げる男に、僕の背中がゾクリと震える。
気がつけば、僕の背後に無数の水で出来たナイフが宙にズラリと並び、切っ先が僕に向けられていた。
「ふっ、激しい痛みがあるかもしれないが、すぐに楽になる。ああ…、飛ぼうとしても無駄だぞ?飛び上がる前に、串刺しにしてやる」
「…くそ…っ、天清…」
無意識に口から出た天清の名前に、僕は自分で驚く。
もしかして死ぬかもしれないと思った僕の脳裏に、笑顔の天清の顔が浮かんだのだ。
ーー天清…、一緒に強くなりたかったけど、僕はもうダメかもしれない…。あ~あ、もう一度、おまえの笑顔を見たかったなぁ…。
天清を思って、少しだけ肩の力を抜く。
でも、このまま黙ってやられるつもりは無い。出来るかどうかは分からないけど、あいつのナイフが僕を突き刺すよりも速く、飛んでみよう。少しは刺さるかもしれないけど、避けれるかもしれない。
背後の気配に意識を集中させた僕の周りの世界が、無音になる。
僕と男が、ピクリとも動かずに睨み合う。
ほんの一瞬、僕が瞼を動かしたその時、上空から大きな声が聞こえてきた。
「せいらーーんっ!!」
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