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「嫌だっ!おじちゃんっ、俺も一緒に行く!青藍が心配だから離れたくないっ」
肩に触れる浅葱の手を払って、天清が、僕のお父さんの着物を掴む。唇を尖らせてポロポロと涙を流す天清を見て、お父さんは溜息を吐きながら「わかった」と呟いた。
「浅葱、天清を連れて僕の後について来い。僧正と織部は、そいつを絶対に逃がすなよ」
「はぁ?鉄、誰にものを言ってる。なんだったら途中で殺っちまってもいいんだぜ?」
「…ふぅ、僕の義兄は血の気が多くて困る。織部、頼んだぞ」
「はい、承知致しました」
織部は軽く頭を下げて、僧正は舌打ちをしながら、男の腕を両側から掴んで飛び去って行った。
「青藍」
「…な、に…?」
「病院まで少しかかる。耐えられるか?」
「こんな、の…平気だよ…。お父さん…、ごめんね。来てくれて、ありがと…」
「ん…。いいから休んでろ…」
お父さんが、掌で僕の髪の毛を撫でる。
ズズっと鼻をすすりながら、服の袖で顔を擦る天清にも声をかける。
「天清…、さっき、僕を守ってくれて、ありがとう…」
「ずっ…、当たり前だっ。でも、守りきれなかった…っ。また、怪我をさせちゃったっ…!」
「天清…」
涙を流しながら自分を責める天清が、とてもいじらしくて愛おしい。
こんなの僕の不注意なのに…と、天清に向かって左腕を伸ばした途端、ズキン!と激しい痛みを感じて、僕は短く声を上げた。
「あっ!…いっ」
「青藍、動くな。大人しくしてろ。浅葱、天清、行くぞ」
「…うん」
天清が、もう一度強く顔を擦って頷く。浅葱が天清を抱き上げると、勢いよく翼を広げて、飛び上がったお父さんの後についてきた。
お父さんの肩越しに天清を見ているうちに、僕の瞼が重くなってきた。お父さんの胸の温もりと、僕を見つめる天清の姿に安心して、僕は静かに目を閉じた。
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