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額を当てたまま、天清がジーッと間近で僕の目を見つめる。
まだ少し丸い顔の可愛らしい男の子なのに、僕の方がギュッと抱きしめたいくらいに愛らしいのに、天清の強い目に、なぜか両手に包まれた頬が益々熱くなり、見つめられた瞳に涙が滲み始めた。
天清が僕の顔から両手を離し、その手を僕の背中に回して抱きしめる。僕の頬に頬を擦り寄せながら、力強く言う。
「青藍、これからどこかへ行く時は、俺に教えて。俺も一緒に行くから。どこに行くにも青藍の傍にいて、俺が守るから。今度の傷は、綺麗に治るっておじちゃんが言ってた。でもね、もしかしたら、左腕の痺れが大きく残るかもしれない、って…。きっと青藍は、そんなの関係なく修行して、すごく強くなるんだろうな…って分かってる。だけど俺は、もう二度と、今度こそもう二度と、青藍に傷ついて欲しくないっ。青藍は優しいから、また誰かを庇って怪我をするかもしれない。だから今度は、俺が青藍の代わりになる。青藍が怪我をするくらいなら、俺が傷ついた方がいい!」
「天清…」
耳の傍で紡がれる天清の言葉を聞いて、僕は天清の背中をバシン!と叩いた。
「いたっ!」と悲鳴を上げて、天清が僕から離れて身体を起こし、背中に手を回して擦りながら泣きそうな顔で僕を見る。
僕もゆっくりと身体を起こすと、天清の真正面に座り、天清の両手を握って言った。
「いい?天清…。ずっと言ってるけど、僕も天清を守りたい。僕も天清が怪我をするくらいなら、僕が傷ついた方がいい。今回のことは、僕の不注意だ。左腕の痺れが残ったとしても、それは、僕が弱かったからだ。僕は、まだまだ弱い。もっと修行して、天狗族の中だけじゃなく、全ての妖の中で一番強くなりたい。だから、天清も一緒に強くなろう。どんな敵が来ても負けないくらいに…」
「うんっ!俺も一番強くなるっ」
「よし、約束だよ。ふふ…、天清は、やっぱり素直で可愛いよね。大好きだよ」
「え?好き…?えっ?」
僕は、天清から手を離してベッドから降りる。今気づいたけど、ここは寮の僕の部屋だった。
クローゼットの前に行き、扉を開けて着替えの服を出して振り返ると、天清が、まだベッドの上で赤い顔をして座っている。
「天清、僕はもう大丈夫だから一旦部屋に戻りなよ。後でご飯食べに行こ?」
「え?あっ、うんっ!俺も着替えて来るっ!」
そう言うと、天清は慌ててベッドから飛び降りて、僕の傍を走り抜ける。ドアの前で靴を履くと、勢いよくドアを開けて飛び出て行った。天清のそのあまりにもの慌てぶりが可笑しくて、僕はしばらくの間、声を立てて笑っていた。
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