アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
溜息を吐きながらトイレから出ようした所へ、いきなり大きな影が現れて、危うくぶつかりそうになる。
「うわっ、あぶな…っ」
「青藍っ?」
その大きな影が、僕の名前を呼んで強く抱きしめた。馬鹿力のせいでようやく貼り薬で治まっていた左肩の痛みがぶり返す。
「いっ!痛いっ。天清っ、離せよ…っ」
「え?あ、ごめんっ」
慌てて両手を上げた天清が、眉尻を下げて僕の顔を覗き込む。手は離したけども僕から離れる気はないらしく、鼻先が触れそうな程の近い距離で、僕の目を見つめてきた。
「ちかっ…」
フイっと背けようとした僕の顔を、天清が両手で挟んで固定する。
僕は、天清の手首を掴んで離させようとするけど、僕よりも太い天清の腕は、ビクともしなかった。
「…なんか用?」
「青藍のクラスの奴…、光輝(みつき)だっけ?あいつに保健室に行ったと思うって聞いて、心配で飛んで来た…」
「はぁ…、そっと出て来たのに、あいつよく見てるな」
「青藍…、また痛くなった?」
コツンと僕の額に額を当てて、くぅ~ん、と鳴き声が聞こえそうなくらいに情けない表情をした天清に、僕は思わず笑みを零す。
13歳になって、今や僕の頭一つ分背が伸びた天清。パッチリとしていた大きな目は鋭い光を放ち、丸かった顔は顎の尖った男らしい顔付きに変わった。
これはとても不本意なのだけど、小さい頃から傍にいて見慣れている僕でさえ、天清に見つめられると顔を熱くしてしまう。
それほどに天清はかっこよくなって、学校内の女子からは絶大な人気があった。
「青藍…」
天清が囁いて、僕に唇を近づけようとする。
がっちりと顔を固定されて逃げれない僕は、右足を上げると天清の足の甲を思いっきり踏んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
55 / 207