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天清は、10歳になった頃からドンドンと背が伸びて、丸くて可愛かった顔が細くなり、爽やかな風貌に変わっていった。
一方僕はというと、緩やかにしか背は伸びず、色白で目が大きく赤い唇をしていた為、まるで女の子のようにしか見えない。こんなに軟弱な風貌では、相手を威圧することなど出来ない。
だから僕は、誰よりも強い力を身につけることを熱望し、誰よりも努力をした。
その結果、15歳になった今では、この学校で一番強い。勉強も、術も、体術も。僕に勝てる奴はいない。
ただ困ったことに、頻繁に昔の傷が痛むのだ。
傷自体は完治している。普通にしていれば、不便なことは何もない。
だけど、少し無理をすると、ピリピリとした痺れが左肩から左手の指先までを覆うのだ。それが不快で仕方がない。
傷を負ったあの日から、そんな後遺症を抱えて過ごしてきた。
天清が中等部に来て一ヶ月が過ぎた頃、僕はあの日も体術の授業でヘマをして左肩を痛め、イライラとしながら保健室に向かっていた。
階段を降りて保健室がある左側へと足を踏み出した時、どこからか、ヒソヒソと話し声が聞こえてきた。
僕は、足を止めて耳を澄ませる。女の子の声と、「うん…」とやる気のなさそうな男の子の声。
「天清?」
よく知る声を聞き間違える筈がない。
僕は、声がした階段の裏側へと静かに近づき、そっと首を伸ばして覗いた。
「……っ!」
覗いた瞬間、心臓がドクン!と激しく跳ねて身体が固まる。
階段裏にいたのは、確かに天清だった。もう一人は、僕くらいの身長の、長い黒髪の可愛らしい女の子。
女の子が背伸びをして天清の首に腕を回し、顔を近づけて天清とキスをしたのだ。
僕は、足音を立てないように後退りをする。廊下に出ると、フラフラと歩いて保健室に向かう。保健室の前に着いて、扉の前でぼんやりと突っ立っていると、ガラリと扉が開いて朝霧先生が顔を出した。
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