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朝霧先生が、苦笑しながら僕の腕を引いて中へいれる。後ろ手に扉を閉めると、僕の頭に手を乗せて覗き込んできた。
「ガラス窓に影が見えたから誰かと思った。どうした?また、左肩が痛むのか?」
「…え?あ……うん…」
先生に話しかけられたけど、頭の中は真っ白で、何を言われてるのかが理解出来ない。
そんな僕にふ…と笑って、先生が僕の背中を押して歩き、ベッドの端に座らせた。
ストンと腰を下ろしても、僕は俯いてボーッと自分の上履きを見つめる。
ーーさっきのあれは、どういうこと?…あ、そうか。あの二人、付き合ってるんだ…。
そう思い至った途端、心臓が握り潰されたかのように苦しくなって、僕は胸を押さえて身体を前に倒した。
「おいっ!どうしたっ?苦しいのか?」
先生が膝をついて、下から顔を覗かせる。先生の目が大きく見開いたと思ったら、僕を力強く抱きしめてきた。
先生の低い声が、頭の傍で優しく響く。
「なあ…一ノ瀬。おまえにそんな顔をさせてる原因ってなんだ?…俺は、おまえにそんな顔をさせたくない。おまえの悲しみや苦しみは、全て取り除いてやりたいと思ってる。…白状するとさ、初めておまえがこの部屋に来た時から、俺はおまえに惹かれてた。まあ…一目惚れってやつ?自分でも信じられなかったけどさ、周りのどんな綺麗な女の人よりもおまえが気になった。おまえが可愛い顔をしてるからかとも思ったけど、そうじゃないんだ。華奢で優しい顔をしてるのに、誰よりも頑張って強くあろうとしてるおまえが気になって仕方なかった。一ノ瀬、俺はおまえが好きだ。…なあ、その涙は誰を思って流してる?そんなに辛いなら、俺にしないか…」
突然の告白に驚いて、僕はゆっくりと顔を先生に向ける。すぐ目の前の、蛇の妖特有の黄色い瞳を見つめていると、ゆっくりとその目が近づいてきて、僕の唇に柔らかい物が触れた。
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