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もう充分塗れただろうに、いつまでも塗り続ける先生に「もういい…」と告げる。
先生は、苦笑しながら僕の手から濡れたタオルを取ると手を拭いて、Tシャツの襟を直してくれた。
「おま…、襟が伸びちまったぞ。だから脱げって言ったのに」
「だって…、先生は僕が好きなんだろ?脱いだら、いやらしいことするかもしれないじゃん」
「俺はそこまで変態じゃない…」
「…いきなりキスしたじゃん」
「それは…、おまえが可愛い泣き顔を晒すからだ」
「可愛いって…。僕、男だよ?」
「知ってる。それでも可愛いと思っちまうもんは仕方ないんだよ」
「先生って…、変なの」
「何とでも言え。おまえが笑ってくれるなら、どう言われようとも構わない」
先生が僕の頬に手を当てて、優しい目で見てくる。
先生と話している内に、少し笑っていた自分に気がついて、なんだか気持ちが軽くなった気がした。
僕はシャツを羽織り、今度は自分でボタンを止める。ベッドから立ち上がると軽く腕を回してみて、もう何ともないことを確認すると、先生にお礼を言った。
「先生、ありがとう。いつもの貼り薬もいいけど、それもよく効くね」
「悪いな、貼り薬は切らしててさ。まあ、あんまり効き目は変わらないからこれでもいいだろうと思ってな」
僕は、先生が持つチューブをジッと見て、そのまま視線を上げて「じゃあね」と扉へと向かう。
「待てっ」
先生の横を通り過ぎようとした僕の腕を、先生が掴んで呼び止める。
「…なに?」
「一ノ瀬…、また肩が痛くなったら、すぐにここへ来るんだぞ。それに、俺はいつでもおまえの味方だ」
「そうそう痛くならないよ。それに何それ?えこひいき?ふふ…先生がそんなことしたらダメじゃん。…まあ、今日のことは、慰めてもらったお礼として許してあげるよ…。でも、次は無いからね」
先生が驚いた顔をして、僕の腕から手を離す。
僕は、先生を見て笑うと、扉を開けて部屋を出た。
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