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「え~、もうちょっと撫でて欲しかったのに…」とブツブツ言いながら、天清がページを開く。天清が分からないという問題を、順番に解説しながら解いていく。
天清は、一度説明を聞くと、すぐに理解してスラスラと解けてしまう。
僕は、シャープペンを動かす天清の手元を見て、訝しげな顔をした。
「天清…、おまえ、ホントは全部分かってるんじゃないの?」
「なにが?青藍の教え方上手いよね。すぐに理解出来たよ」
澄ました様子で答える天清に、疑いの目を向けるけど、もう教えてしまったものは仕方がない。
「喉が渇いた」と言う天清の為に、僕は立ち上がって冷蔵庫から紅茶と緑茶のペットボトルを取り出した。
天清の隣に戻って、どっちがいいか聞く。
「俺、紅茶がいい。いい?」
「いいよ」
天清が、お礼を言いながら紅茶を受け取ると、よっぽど喉が渇いていたのか、半分程まで一気に飲んだ。
天清の、紅茶で濡れた唇を凝視する。
あの唇であの子とキスしたんだ…とぼんやりしていると、天清の顔がいきなりどアップで現れた。
「なっ、なにっ?ビックリするんだけどっ」
「青藍がボーッとしてたから…。どうしたの?」
「…別に。何でもない」
フイっと視線を逸らすけど、天清は僕の顔を見つめたまま動かない。
そのまま無視は出来ないので、仕方なく視線を戻して天清を見た。
「まだ何かあるの?」
天清は、二三度口を開けたり閉じたりしていたけど、意を決したように話し出した。
「なあ青藍…、保健室によく行くのって、肩の傷が痛むからだよな?」
「は?なんでそんなこと聞くの。おまえはよく知ってるだろ。僕の左肩の傷痕が、時々痺れるから薬を貰いに行ってるだけだ」
「そっ、そうだよねっ。俺、噂を聞いて不安になったからさ…」
「噂?」
「…う…ん。青藍と…朝霧先生が付き合ってる、って噂…」
ドキンッと心臓が大きく跳ねる。
そんな噂が出てるのか?でも…、実際に僕は治療の為に保健室に行っている。それに、部屋の中は、誰にも見られていない筈だ。きっと頻繁に保健室に行ってるから、そんな噂が出たのだろう…。
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