アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
13
-
「そんなの、ただの噂だ。僕と先生が付き合ってるなんてバカバカしい」
「ほ、ホントに?」
僕の手を握る天清の目が不安に揺れている。
まだ何か言いたそうに口ごもる天清に、僕は催促するように握られた手を動かした。
「まだ何かあるなら言って。なに?」
「あの、さ…、先生と付き合ってはなくても…、青藍、先生と…キス、してたよね…?」
ドン!と胸を拳で強く殴られたように苦しくなって、僕は天清の手を思いっきり振り払った。
膝の上で握りしめた両手が、ブルブルと震えている。
ーー今っ、なんて言った?僕と、先生が、キスしてる?なんで知って…っ。
「青藍はっ…、先生が好きなのか?だから、先生とキスしてたのかっ?」
「天清…、おまえ、なんで…っ…」
「今日…、光輝に聞いて保健室まで走って、息を整えてから中に入ろうとしたら話し声が聞こえて…。少しだけ開いてた扉の隙間から覗いたら…、青藍、先生と…キス…してた」
一番見られたくない奴に見られてしまった。
でも、僕は何を脅える必要がある?天清だって、あの子とキスしてたじゃないか。それに僕と天清は、ただの幼馴染で恋人でも何でもない。
僕は、キッと天清を睨んで、「だから何」と答えた。
「な、なんでっ、あんな奴とキスしてんの?俺は嫌だよ!あんな奴とキスなんかするなよっ」
僕の両腕を掴んで、天清が大声を出す。
握られた腕の痛みに顔を歪めながら、僕は声を絞り出した。
「僕が…誰と何をしようと天清に関係ない。おまえだって、き…キス、してたじゃないかっ」
「え?俺が?いつ?」
「一ヶ月前、保健室近くの階段の裏側…。髪の毛の長い子と…」
「え?…階段……あっ!」
天清が、思い至ったらしく大きな声を出した。
僕は、天清の口から次に吐き出される言葉を聞きたくなくて、天清から顔を背けて俯いた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
65 / 207