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「えっ!?妖狐がっ?」
僕が聞くよりも早く、天清が浅葱に詰め寄る。
浅葱は、天清を見て深く頷くと、僕の腕を掴んで言った。
「青藍様、すぐに郷に戻りますよ。準備をして下さい」
「わ、わかった!ちょっと待って…」
僕は急いで部屋着の長袖Tシャツの上にパーカーを羽織り、鞄から財布とスマホを出すと、ズボンのポケットに突っ込んだ。
そして、ドアの前で固まったまま動かない天清の問題集やノートを鞄にしまって天清に渡す。
「天清、ごめんっ。僕、今から郷に行って来るから続きはまた今度な。大丈夫。きっと何かの間違いだよ。天清はここで待ってて」
「青藍…」
僕から鞄を受け取りながら、天清が泣きそうな顔で小さく呟く。
「…俺も、父さんに連絡取って確認してみる…。何があって、どうしてそうなったのか、聞いてみる…」
「うん、そうだね。天清、大丈夫。何があっても、僕は天清の味方で天清が大好きだから」
「せっ、青藍…っ。俺もっ…」
僕が、天清の空いた手を握ると、天清も強く握り返してきた。
傍に浅葱も柚葉もいるからキスは出来ないけど、繋がった掌から天清の気持ちが流れ込んで来るようで、とても安心する。
天清もそうみたいで、強ばっていた表情が、少しだけ緩んだ。
僕はニコリと笑って天清の手を離すと、部屋を出てドアに鍵をかけた。
「じゃあ天清、行ってくる。必ず連絡するし、必ず戻って来るから待ってて」
「うん。気をつけて…青藍」
不安気に僕を見る天清に手を振って、僕は、浅葱と柚葉と共に郷へと戻るべく、屋上に向かう階段を駆け上がった。
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