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息が苦しくなる程に抱きしめてくる天清の背中に、僕も手を回す。
僕の肩に顔を埋めて、天清が震えた声を出した。
「郷で…何か言われた?」
「うん…。しばらくは、妖狐族とは絶縁だって…。次期当主になる僕が、妖狐と仲良くしてたら示しがつかないって…。だから、学校も辞めて郷で修行や勉強をしろって…」
「…青藍は、それに同意したのか?」
「うん…。父さんの気持ちもわかるから…。いずれは天狗族の上に立つ僕が、自分の気持ちだけを優先してはダメだと思った…。だから…ごめんね…」
天清が僕の肩から顔を上げて、真正面から僕を見た。
「俺も、オヤジに連絡して聞いた。当主の叔父さんは別に怒ってはいないらしいけど、その場にいた数人が『こちらから謝る必要はない』と、かなり怒っているらしい。でもオヤジは、最初に手を出した妖狐側が悪いと言ってた。俺もそう思うよ…。ごめんな、青藍…」
「ふ…、天清が謝ることないよ。それにこれは、どちらも悪いと僕は思ってる…。本当は、学校を辞めたくない。天清と離れたくない。ずっと傍にいられると思ってたのに…」
言葉が震えて、僕の頬に涙が伝う。
「青藍…」と呼ぶ天清の声も震えていて、天清を見ると、涙と鼻水を垂らして泣いていた。
「天清…、鼻水出てるよ…」
「うっ…、ずっ、学校辞めても、会える?郷の外で、会える…っ?」
「ごめん…。和解するまでは、たぶん会えない…」
「なっ、なんでだよっ!」
僕の両肩を掴んで俯く天清の目から、ポタポタと雫が落ちて、ベッドのシーツを濡らしていく。
僕は、両手で天清の濡れた頬を包んで、天清の唇に唇を押し当てた。
一瞬で涙が止まった天清が、目を見開いて僕を見ている。
僕は、しょっぱい唇を何度も食んで、ペロリと舐めてから顔を離した。
「ふふ…、天清の唇、しょっぱいよ…。ねぇ、天清、僕は天清が好きだよ。周りに可愛い女の子もたくさんいるのに、天清のことが好きなんだよ。それは、これからも変わらない。離れたからって、変わらない。それに、絶対にそのうちに会えるから、それまで僕は頑張るよ…」
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