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教室まで急いで鞄を取りに行った柚葉が、玄関で僕に追いつき、慌てて靴を履き替える。
玄関を出てゆっくりと歩く僕に並ぶと、キラキラとした目で僕を見る。
「やっぱり青藍ってすごいな…。さっきの恫喝で、俺の身体が震えて動かなくなったぞ。あのおっさんも小刻みに震えていたな。あいつ、妖の学校からこの人間界の高校にまで青藍を追いかけて来やがってさぁ、まるでストーカーじゃん。青藍は強いから大丈夫だろうけど、一応おっさんには気をつけろよ?」
一気に捲したてる柚葉に苦笑して、僕は門の横で咲き誇る桜の木を見上げた。
「わぁ、今年も綺麗に咲いたね。明日の入学式を祝うかのように満開だよ。…柚葉、先生がたまたまこの学校に来たのか、僕を追いかけて来たのかは知らないけど、僕は大丈夫だ。先生が僕に何かをしようとしても、僕の方が強い。そんなことを気にするより、柚葉は僕と同じ大学に行くんだろ?だったら、もっと勉強を頑張らないと」
「ぐぅ…っ。わ、わかってるよ…。 あーあ…、俺って力も頭も青藍には適わないなぁ。でもせめて、青藍の右腕的立ち位置になるように頑張るからなっ」
「ふふっ、期待してるよ」
門を出て、駅へと続く道の両脇に立ち並ぶ桜の木を眺めながら、この高校に入学した二年前から度々口にした話を柚葉と繰り返す。
三年前、天清と別れてから天狗の郷で約一年過ごし、二年前に、凛の出身校であるこの高校に入学した。
この学校に決めたのは、凛と同じ高校に行きたかったこともあるし、何よりこの学校に行くことによって、凛の家に下宿させてもらうことが出来るからだ。
でも、凛の家に二人も下宿させる部屋はないということで、柚葉は別の場所を借りて住んでいる。
僕の初恋の人である凛と同じ屋根の下に住めて、毎日がとても楽しい。ただ、凛の結婚相手の銀おじさんが、凛と仲良くする度に僕を睨んでくるのが困りものだった。
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