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天清が足を止めて、僕の手を引き両肩を掴む。そしてぐいと顔を近づけて低い声を出した。
「え…アイツ、この学校にいんの?もしかしてストーカー?」
「違うって。ほら、先生の弟の光穂がいるじゃん。光穂が心配で来たって話してたよ?」
「…青藍。それ、信じてるの?そんな訳ないじゃん…」
「まあ別に僕はどうでもいいよ。昔みたいに僕に寄ってきたりしないし、僕の肩の痛みをすぐに治してくれるし、そう思えば先生も便利だよ」
僕の言葉に、青藍が目を丸くする。
「青藍って、やっぱり強いな。俺の守りなんていらないかもしれない。でも、俺の方が弱かったとしても、俺は青藍を守るからなっ」
「ふふ、ありがとう、天清。期待してるよ」
「おうっ」
簡単に機嫌が治る天清を『大きな犬みたいだ』と思って、僕は思わず笑ってしまった。
それから渋る天清を新しい教室に行くように諭して追いやり、職員室に行く途中で会った朝霧先生に、伸びたままの猫又を頼んで家に帰った。
今日からは凛も会社に行ったから、家には誰もいない。
僕は、帰りにスーパーに寄って買ってきた食材を冷蔵庫にしまうと、2階に上がって部屋着に着替えた。
そして自分一人の昼飯を作るのが面倒だからと、簡単にカップ麺を食べた。
食べ終わってごろりと畳に寝転び、そっと目を閉じる。瞼の裏に、とても精悍な顔つきになった天清の顔が浮かんだ。
ーー天清…ますますかっこよくなってたなぁ。天清のお父さんもかっこいいけど、天清はもっと綺麗だ。人間だというお母さんにも似てるのかなぁ。
天清に会えた嬉しさで、つい顔が綻んでしまう。
これから天清が来るから掃除をしなきゃと思いながら、満たされた気持ちが心地よくて眠ってしまった。
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