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「おまえ、妖だろ?」
「はい?」
唐突に投げつけられた言葉に、僕の身体が固まる。
目の前にいる男は、人間の筈だ。なぜ、僕が妖だとわかったのだろうか。
「何を言ってるのかわからないんだけど」
僕は首を傾けて惚けてみせる。
男が、ジャリ…と土を踏んで、一歩僕に近づいた。
「おっと、誤魔化そうとしても無駄だぞ。俺は、妖の匂いを嗅ぎつけられる」
「…で、あなたは何をしたいのですか?」
「おまえ、なかなか聞き分けがいいな。ふん、何をしたいのかって?決まってるじゃないか。人間が妖を目の前にしてすることと言えば、殺されないように慌てて逃げるか、こっちから殺すかの二択だっ!」
叫ぶと同時に、男が僕に向かって突進してきた。
その手には、鈍く光る短刀が握られている。
僕は、素早く身体を引いて、男を躱した。
「ちっ、やっぱそう簡単にはいかねぇか…」
「あんた…、いきなり何をするんだっ」
僕の問いを無視して、男が両手で短刀を握ってブツブツと呟き始める。
その姿を見て、僕は咄嗟に翼を出して飛び上がった。
直後に背中に鋭い痛みを感じ、身体のバランスを崩して落ちそうになる。
だけど、ここで落ちたら不味いと感じた僕は、懇親の力を振り絞って翼を動かし、急いでその場から離れた。
人に見られない高さまで登り、フラフラとよろけながら家へと向かう。
かなりの痛みを感じる背中は、どうやら切られているのか、濡れたものが腰へと伝う感触が、とても気持ち悪い。
早く家へと気持ちは焦るのに、身体から力が抜けてしまい、僕はゆっくりと下降して、広い庭らしき所へと降り立ち、そのまま倒れ込んで意識を失った。
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