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背中が燃えるように熱く、思わず呻き声を上げる。いや、背中だけでなく全身から汗が流れて気持ちが悪い。
僕は、固く目を閉じながら手を伸ばして、「天清…天清…」と、ひたすら呼び続ける。
「おまえ、あの強い天狗の息子で甥であろう。これくらいに耐えることが出来なくてどうする。乗り越えてみせよ」
僕の頭上で、誰かが話している。
あの強い天狗の息子…って?甥って?僕の父さんや銀おじさんを、知ってる?
誰なのかと確認しようにも、とても苦しくてそれ所ではない。
「くっ…!」と言う誰かの声と共に背中に激痛が走り、再び僕の意識は暗闇の中へと落ちてしまった。
「青藍…、青藍…」
よく聞き覚えのある優しい声に気づいて、ゆっくりと意識を浮上させる。数回瞬きを繰り返して焦点を合わすと、僕を覗き込む凛と目が合った。
「…り、ん?」
「青藍っ、良かった…っ。俺がわかる?」
「…うん。僕…どうしたの?」
凛が僕の左手を握りしめて、ぽろぽろと涙を零している。凛の隣には銀おじさんもいて、僕の頭を撫でて、ホッとしたように笑った。
「青藍、よく頑張ったな。おまえは、背中を切られてこの神社の敷地に倒れていたんだ」
「じ、んじゃ…?」
「ああ、不幸中の幸いというか、いい所で倒れてくれて助かった。ここは、凛の友達の神社だ。倉橋と言う。彼は、陰陽師としての強い力を持っている。青藍、おまえは、どうやら退魔の刀で切られたらしい。だから傷が塞がらなくて、危ないところだった」
「退魔の…刀…」
「そうだ。妖の力では治すことが出来ない。だが、倉橋の力で血を止めてもらうことが出来た。その上に、尚幸運なことに、この神社には神使がいる」
「神使…?」
「そうや。狐の神使がいる。良かった。目が覚めたんやな」
ふいに聞いたことの無い声が聞こえ、ゆっくりとそちらに顔を向ける。
襖を開けて、眼鏡をかけた冷たい雰囲気の男の人が入ってきた。
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