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眼鏡の男の人が、布団を挟んで凛の反対側に座る。
「はじめまして。俺は倉橋 蒼(くらはし あおい)と言う。ここは倉橋神社。俺の家や」
「あの…、助けてくれて、ありがとうございます。僕は一ノ瀬 青藍と言います。天狗の…」
「知ってる。天狗の当主の息子やろ?椹木から話聞いてたしな。しかし、災難やったな。どこでやられたんや?」
「学校帰りに知らない男が現れて。用があるからついてこいと言われて…」
銀おじさんが、大きな溜息を吐く。
「青藍、おまえ高校生にもなって、なんで知らない奴について行ってるんだ?」
「だって、何かあっても僕は大丈夫って思ったんだよ」
「あのな、どんなに強くなったって、驕った気持ちを持ってたらダメだ。常に注意を払わなければならない。まあ、今回のことでよく分かったと思うが」
「うん…ごめんなさい。それで、どこかの家の敷地に入った途端、『おまえは妖だろう』と言って襲って来たんだ」
「ふ~ん…」
倉橋さんが、腕を組んで目を閉じる。その時、開け放たれた縁側から風が吹きつけて、思わず顔を逸らした。
「白(はく)、どう思う?」
倉橋さんの声に目を開けると、倉橋さんの隣に長い黒髪を後ろで一つに括った、とても綺麗な男の人が座っていた。
「そいつは妖に恨みでもあるのかもな。他にも襲われた妖がいるかもしれんぞ。それにしても刀で切りつけるとは…。野蛮な奴だな」
「まあ、術を使うよりは手っ取り早いしな。でも相当強い力が施された刀やで。あ、そうや。青藍くん、後で傷の具合を見せてな。白のおかげで殆ど治ってるけど、もうちょっと、手当てしとこ」
「ありがとうございます。白…さんって、この神社の…」
「神使だ。おまえは本当に運が良かったの。違う場所で倒れてたら助かってなかったかもしれん」
その言葉に、僕はブルリと身体を震わす。
僕は、これから天狗一族を背負っていく身だ。もっと強くなって、一族の皆んなを、大好きな人を守って…。
「あっ!そいつってまだあの辺でウロチョロしてるのかなっ?天清があいつに会ったらどうしよう…っ」
天清も強いけど、優しいから人間には手を出さない。もしも油断して切られたりしたら…!
慌てて起き出そうとする僕を、凛が優しく押さえて布団に戻す。
「大丈夫だよ、青藍。天清くんはもうすぐここに…」
「青藍っ!!」
凛の声に被せるように大きな声が聞こえて、縁側から天清が駆け込んで来た。
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