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デアウモノ
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月曜日の午前九時前、
僕達、全校生徒は体育館にぞろぞろと集められ、全校朝礼が執り行われていた
6月中旬、梅雨の時期のせいか、いつもはワックスでつるつるの床は湿っぽく、空気はじめじめと重苦しい中、校長のたわいない話をひたすら、あぐらをかきながら聞き流していた
内容はこの区域で神出鬼没らしい不審者の年格好の話やスマホを見ながら、自転車で下校する男子生徒が複数目撃されたという在り来たりな話だ
まあ確かに、ながら運転は危険行為ではあるが
その話が終わると、入賞や優秀賞やらと五、六人が表彰状を校長から受け取る様子を興味ない顔で眺め、最近ようやく覚えた校歌を歌わせる時間となった
生徒達は小さな声で口ずさむ
僕もそれに倣って、音程を外さないように歌いはじめた
「いざァァ~輝かせェェ~」
「我らァァ~の青春をォォ~」
僕の真後ろに立つ、男子生徒の場に合わない音量とへんてこりんな音程にリズム感が奪われないようにようにと
必死に歌い続ける僕の努力を誰か絶賛してほしかった
とんでもなく、音痴の自覚無しの彼は、
今年の春に一番最初に出来た友人の一人ではあったが今この時ばかりは他人のフリをせざるを得ない
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