アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
16
-
「ん…………」
あれ?ここどこだ?
まだ頭が覚醒していない侑舞は、ここがどこなのか分からなかった
全体的に白い部屋を見て、そういえば病院に来て入院することになったんだったなと思い出した
いつのまにか俺は眠ってしまったらしい
まぁ眠っていたといっても、1時間くらいだと思うけど
少し寝たからか、身体がいくらか軽く感じた
寝れそうにないし、かと言って何か出来ることもない
侑舞は何気なく窓のほうを見た
今日の空、綺麗だな……
外に広がる空に魅了され、もっと近くで見たいと思った
いつもはそんなこと思わないのになぜかそう思った
あの空に近づきたいと
俺は空に近づくためにベッドから抜け出して、屋上へと足を進めた。
「ゴホゴホッ」
途中で呼吸が苦しくなりながらも足を止めることはなかった
夢中で階段を上がった
ただただあの空を目指して
「はぁはぁ……着いた」
屋上に着いた頃には、さすがに身体が悲鳴をあげていた
熱があるのだから当たり前だ
侑舞はその場に座り込み空を見上げた
この青空に溶け込めたらいいのに
いつだって俺はこうだ
変わりたい、強くなりたいと思って努力をしても、結局誰かしらに迷惑をかけてしまう
俺のせいでみんなが不幸になる
母さんは元々身体が強いほうではなかったらしく、俺を産んだときに亡くなった
父さんは俺が入院することが多かったから日々仕事におわれていた
しかも、俺の見舞いに来る途中で事故にあって、帰らぬ人となった
兄は父の死後、それまで以上にバイトに励むようになった
全部が全部俺だけのせいというわけではないのかもしれない。でも俺に関係ない出来事は1つも無かった
俺のせいで、俺が家族を不幸にしてしまったという思いが強かった
病院の医師をはじめ、他の人にそんなことはないよと言われても、自分のせいでという思いや罪悪感が消えることはなかった
たったの1度もだ
たらればの話をしたって、起きたことが変わるわけではない
それは痛いくらいに分かっていた
でも、俺は受け入れられなかったんだ
「仕方なかった」「不運だったんだ」という言葉で片付けられなかった
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
19 / 159