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(過去)
「ねぇ姫ちゃん先生」
「なーに? てか、姫ちゃん先生言うなって何回言ったら
分かるのかな~?」
莉琴先生はみんなに姫ちゃん先生と呼ばれていた
苗字が姫宮だから姫ちゃん先生
本人は嫌がっているけどね
「えー別によくない?」
「全然よくないから。で?」
「幸せって何? どういうのを幸せって言うの?」
純粋に気になっていたことを尋ねた
「んー。そうねぇ……。私は幸せって人それぞれ違うもの
だと思うのよね。十人十色って言葉があるでしょ?
その通りでさ、全員が同じ考えを持っているとは限らな
い。1人1人が自分なりの幸せの定義というものを持って
いて、その定義をもとに幸せを決めてる。
だからご飯を食べることを幸せとする人もいれば、友人
と騒ぐことを幸せとする人もいる。これが幸せですよっ
てものは存在しないと私は思うわ」
「ふーん。幸せって難しいね。幸せかどうかは自分の考え
や捉え方次第ってことでしょ?」
「ま、そういうことになるわね。当然自分にとっての幸せ
が他人にとっては不幸であることもあるしね」
姫ちゃん先生の話は正直難しかった
幸せという感情を知らない俺にもこれが幸せだと言える日は来るのだろうか……
そもそも俺が幸せになっていいのだろうか
そんなことを思っていたらつい声に出してしまった
「俺が幸せになる日なんてきっと来ない」
「心配しなくて大丈夫よ。きっと侑舞くんが幸せを知る日
は来るわ。それが自分で見つけるものであるか、誰かに
よってもたらされるものであるかは分からないけど。
とにかく今は幸せになるためにも、自分を許してあげる
ことから始めましょ?」
「姫ちゃん先生が俺のことを幸せにしてよ」
「無理」
「即答は酷くない?」
「無理なもんは無理。侑舞くんを幸せに出来るのは私じゃ
なくて他の誰かよ。ほら、今日のカウンセリング始める
わよ」
そもそもあんたと私で年の差どんだけあると思ってんの?
14よ14!と言って嘘泣きの仕草を見せた
そんな姫宮先生を笑うと、笑ってんじゃないわよ!と怒られた
理不尽!って言うと今度は姫宮先生に俺が笑われた
その日もいつもと変わらぬ日常が流れていた
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