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湊side
侑舞が見つかったことを和田に連絡した後、和田の到着を待っていた
その間に侑舞を発見した時の状況について碧海に聞いてみた
だが碧海は少し考える様子を見せた後、和田先生が来てから話すからとだけ言ってそれ以上話すことはなかった
同じ話しをするのが面倒だからなのか、それとも簡単に口が割れないような状況だったのか……
一抹の不安を抱えながらも湊は和田の到着を待つことしかできなかった
その後やってきた和田による診察を無事に終えた
和田によると、とりあえず安静にしてさえいれば大丈夫だろうとのことだった
無理して動いたため熱は上がってしまっている状態
でも、今以上に上がらなければ、命にかかわるようなことはそうそうないという
安堵の溜息が各々から漏れたが、それも一瞬のことだった
またすぐに張り詰めた空気が病室内を包みこんだ
碧海は病室内にいる面々を見て、少しためらいながら重い口を開いた
「はっきりいって俺は話すべきなのか今も悩んでる。
それに本人がいる病室で話すのは気が進まない。
でも、ここにいる全員が気になっていることだと思うか
ら話しをする」
そして碧海の口から告げられた事実は、あまりに受け入れがたいものだった
「湊の弟がいたのはこの病院の屋上だった。
もっと言えば、俺が発見した時に彼は屋上を囲う手摺の
向こう側にいた」
まさかの内容に久我野が叫ぶ
「は!? ちょっと待てよ! それってーー」
「彼は自殺しようとしてたんだ。たった1人、あの場所で
な」
もう誰も口を開こうとはしなかった
いや、できなかった
室内には異様な静けさだけが漂っていた
「なんでそうなったのか。そう至った経緯を俺の口から話
すことはできない。今俺が言えることは、彼が死のうと
したという事実だけだ」
そう告げると碧海も口を閉じた
沈黙が続く中、その沈黙を破ったのは和田だった
「無事でよかった。今言えることはそれしかないね。生き
てる状態で見つかってよかった」
「そうですね。あとは少しでも早く回復してくれることを
願うことしかできませんからね」
少しずつ張り詰めた空気が和らぎ周りが会話をはじめた中、湊だけはどこか思いつめたような表情を浮かべ、その会話に加わることはなかった
そんな湊を心配げに見ていた人物がいたことなど湊は知る由もない
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