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ひとしきり笑うと、一気に真面目な空気へと変わった
本当に姫宮先生は場の空気を作るのが上手い
「で? 和田ちゃんがわざわざこの時間に、しかも迷惑に
なることも分かっている上でかけてきたってことは侑舞
くん関連?」
姫宮の読みの良さに感嘆の溜息が漏れそうだった
「さすがですね。まさにその通りです。やっぱり姫ちゃん
先生にはかないませんね」
やられっぱなしは悔しいから、細やかお返しをしておいた
「おい、姫ちゃん先生って呼ぶんじゃねーよ」
「口悪いですよ。じゃなくて、本題に行きましょうよ」
「お前のせいだわ! いつ呼ばれるか分からないんだから
早く話進めちゃってよね!」
姫宮先生が1番気にしてる部分に触れたからか少し口調が荒くなった
そのことに1人満足し、今度こそ本題へと移った
「侑舞くんなんですが、今日病院の屋上から飛び降りよう
としました。ギリギリで湊君の友人が見つけてくれたの
で、未遂で済みましたが」
もう少し遅れていたら……
その先はあえて言わない
言わなくてもあの人は分かるから
「そっか。今日は何? 定期健診かなんかだったの?」
「いえ、風邪ひいたみたいだから診察してほしいというこ
とで病院に来たんです。結局肺炎でしたけど」
「肺炎か~。じゃあ入院になったのか」
「はい。気管支が元々弱いですし、念のために」
「なるほどね~。なんとなくそうなった経緯が分かった」
「え?」
姫宮の反応に和田は驚きを隠せなかった
いくら物分かりが良いとは言え、これだけの情報量で俺たちには分からなかったことが分かるなんて思わない
「え? ってなによ。私一応さ、侑舞くんのカウンセリン
グやってたんだけど?」
「いや、それは知ってますけど……」
確かに姫宮が言う通り2年前、侑舞が卒業するまでの間、精神面のケアをしていたのは姫宮だった
でも、だからって今目の前で顔を突き合わせてるわけでもない、話もしてない状況で分かるとは思いもしない
「まぁ、あくまでも私の憶測の話にはなるけど」
そういって姫宮は語り出した
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