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和田は、話を聞いてからずっと思っていたことを姫宮に言った
「なんかこの兄弟ってそっくりですよね?」
そう言った和田に、姫宮は笑いをこぼしながら答えた
「自分のことより、相手のことのほうが大事だからねあの
2人は。不器用なのよ。ちゃんと話さえすれば拗れない
のに、相手をこれ以上傷つけたくない、苦しめたくない
から伝えない。自分が我慢すればいいってね。それでい
て、相手のためにしてるのに何かあれば自分のせいだっ
てね。お前らは本当にーって言いたくなるでしょ?」
「全くです。俺、湊君にちゃんと向き合いなさいって言っちゃいましたよ」
「えー?(笑)言ったの?さすがだな~。やっぱ和田ちゃん
に任せてよかったわ。私の読みは間違ってなかった!」
そう得意げに話す姫宮の言葉は純粋に嬉しかった
でも、心からは喜べなかった
だって俺は危うく1人の命を失うところだったんだから
「⋯⋯ 果たしてそうでしょうか? 姫宮先生に気を付けて
見ておくよう言われていたのに、結局こんな事態になっ
てしまったんですよ?」
「医者だって人間だし、そもそも一人の患者に付きっきり
ではいられない。仕方ないことだと思うわ。今回はあの
子のことだから、定期健診以外はほとんど病院には行っ
ていなかったんじゃない?」
本当はこの人、どっかからこちらの様子を見てるんじゃないか?と疑いたくなるくらいによく当たる
「そうですね。久しぶりでしたよ」
「ちょくちょく来ていたなら些細な変化に気づけるけど、
そうでないなら難しいと思う。あんまり責任感じないほ
うがいいわよ。患者に何かある度に心を痛めていたら、
今度はあんたが潰れちゃうわ」
「そう……ですよね」
優しさだけではこの仕事は務まらない
それはこの数年、身をもって知った
「和田、大事なのは次どうするかよ。分かるわね? 失敗
したっていいの。そこから何を学ぶかが大切なんだから
ね?」
さっき湊くんに言った言葉がそう経たないうちに自分に返ってくるとは……
和田は思わず苦笑を溢した
「はい。分かっています」
すると電話の向こうからコールの音が聞こえた
「悪い呼び出しだ。もう切るわね」
「はい。ありがとうございました。あとは何とかやってみ
ます」
「うん。またなんかあったら連絡して! 私のできる範囲
でフォローするから」
「分かりました。じゃあまた連絡します」
「ええ、あの子たちのことよろしくね。あー、そうだ言い
忘れてた! そう遠くないうちにそっちに戻れそうだか
ら、その時はまたよろしく」
「はい! それでは失礼します」
通話を終えた和田は自分の頬を両手でパンッと叩くと、椅子から立ち上がり、侑舞と湊の様子を見に行くために病室へと歩いて行った
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