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姫宮side
今日は休みだったのだが、どうしてもやらなければならない仕事があり、勤務先の病院に来ていた
もうすぐ日本に帰るので、そこまでに終わらせなければならないのだ
仕事と言っても書類の処理だけなので、さっさと終わらせて帰ってしまおうと作業に取り掛かった
その時、滅多に鳴らない私用の携帯に着信が入った
相手の名前を見たとき少し嫌な予感がした
その相手とは、基本1ヶ月に1回連絡をとりあう程度で、先週連絡をとったばかりだったのだ
だが、出ないわけにもいかないので、ひとつ息を吐きだしてから電話に応じた
悪い知らせじゃありませんようにと祈りながら
「もしもしーー」
電話の相手は日本にいた頃に関わりがあった侑舞の担当医である和田
和田と暫く雑談を交えて笑いあった後、すぐに本題へと移った
さすがの私も今いる場所は勤務先なわけで、呼び出しがないとは言いきれないから早く話は済ませたい
そして和田の口から伝えられた内容は最悪と言ってよいであろう内容だった
最近は話題に上がっていなかったが、和田がわざわざ連絡をしてきた理由はあの子くらいしか思いつかない
だが、実際にそれが当たってしまうと、なんとも言えない気分だった
やはりあの時はまだ離れるべきじゃなかったか……
姫宮は携帯から聴こえてくる声を拾いながら、2年前のことを思い出していたーー
父の死から2年が経ち、カウンセリングの甲斐もあってか侑舞の精神状態は改善されつつあった
それに自分を責めがちだった性格も少しは改善傾向になっていた
その様子から姫宮は渡米へと踏み切った
しかし2年が経ち、再び自殺未遂
また振り出しに戻ってしまった
正直言って、カウンセリングを続けていなかったことが誤算だった
もっと言えば病院に訪れる頻度の減少もだ
病院に頻繁に行ってさえいれば、他の医師は無理だとしても、担当医である和田には異変に気付くことが可能だったはずだ
その辺のフォローをいれていかなかった2年前の自分を責めたい気分だ
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