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何を言おうが、今すぐに自分が戻れるわけではない
あくまでも私は勉強をしにアメリカに来ているのだ
金曜までは仕事があるので、日本へ発つのは土曜になる
到着は日曜だから、職場に行けるのは月曜日からだ
今は和田に頑張ってもらうしかない
弱気になっている和田を励ましていたら、コールがかかってしまった
タイミングの悪さに思わず舌打ちしそうになったがグッとそれを堪えた
とにかく、困ったら連絡するようにだけ伝えて通話を終えた
時間的にはそこまで通話をしていたわけではないのに、随分長く電話していたように感じた
それが話しの内容のせいなのは間違いない
とりあえず応じれなかったコールの内容を確認するために連絡をしたら、私が行かなくても対応できるとのことだった
じゃあ何でしてきたんだよ!っと思わず机に突っ伏した
怒りを鎮めると、今度は頭に浮かんでくる数々の後悔を何とか整理しなければと悶々と考え始めた
1番思うことは4年前のことを和田にもっと話しておくべきだったなってことだ
話しておけば和田も対応が変わっていただろうし、自分自身を責めることもなかった
大本を辿れば、そもそも私が海外に行かなければよかったんだよな~
だが、そんなことを思っても起こってしまったことが消えるわけではない
それに姫宮自身、海外に来たこと自体には後悔はしていない
〝患者に寄り添える医者になりたい〟
その夢をかなえるためにここに来た
日本で精神科医として心のケアの仕方を学び、日本ではなかなか実績を積めなかったから、海外にきて外科医としてのスキルに磨きをかけた
姫宮を変えたのは侑舞との出会いだ
侑舞に出会ってから、患者の心だけではなく命も救ってあげたいと思うようになった
きっかけは1度だけ侑舞が生死を彷徨った事件だ
湊くんも和田も知らない
湊にはあえて伝えず、和田はちょうど他病院に行っている時だった
そのときも自殺未遂だった
治療室に入っていく血だらけの侑舞を、姫宮は見ていることしかできなかった
何もできなかったのだ
医師免許があってメスも握れるのに、姫宮は立ち尽くすことしかできなかった
それからだ姫宮が変わったのは
メスが握れれば自分が救える患者は増える
一人でも多く明日を迎えられるように、自分に出来ることをしようと考えた
そこで自分に足りないものを補うためにアメリカに渡る決断をした
そして今の自分がある
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