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碧海side
湊の弟を病室に連れ帰ってから担当医の先生、久我野先輩、湊に発見時の状況を説明した
本当は死のうとした大まかな理由は聞いたが、それは俺の口から言うべきではないと判断して、飛び降りようとしていたという事実のみを伝えた
理由は本人が言うかどうか決めればいい
理由が理由だから勝手に言うわけにはいかない
これからの兄弟関係に大きく影響する話であるから
その後、今日は目覚めない可能性も高いことや、面会時間の終了時刻が迫っていたため、俺と久我野先輩は帰ることになった
あいつは勘が良い
話をした後の様子からして、もしかしたら自殺をした理由に自分が関係しているかもしれないと気づいた可能性がある
できれば湊を1人にしたくなかったが、俺たちは無関係な人間だ
あの場に残ることは出来ない
きっと、あの和田という医者がフォローをいれるはずだから、あの医者に任せるしかない
おそらくあの医者も湊の様子に気づいたはずだ
帰りの車中では、久我野と2人で今日のことについて話していた
「お前はさどう思う?」
「どう思うって何がですか」
「あの兄弟のこと」
具体性がない質問にどう返事をしようか悩んだが、欲しい答えじゃなかったら聞き方を変えてくるだろうと考え、率直な意見を述べた
「まー、考え方が似てるなとは思いましたよ。あと拗らせ
てそうだなーって」
「あー、やっぱ?」
「やっぱってことは、何か湊が言ってたんですか?」
「いや、とくには聞いてねー。つか聞けるような状態じゃ
なかったからな。ただ見てれば分かるだろ。あいつ意外
と分かりやすいからな」
「それは否定できません」
「ちょっときっかけさえあれば良い方向に行くんだろうけ
どな」
「そうは言ってもこればっかりは当人たち次第ですよ
外野が口出すことじゃありません」
「分かってんだけど、こう、なんつーの? もどかしいと
いうかさ」
「そうですね。分かりますけど俺らは見守ることと、話し
を聞いてやることしかできませんよ。頼まれたら話は別
ですけど」
「だよなぁ。ま、とにかくできる限りのサポートをするし
かないか」
2人でとにかくあの兄弟のことを支えようと誓いあった
その後、家の近くのコンビニで降ろしてもらい久我野先輩と別れた
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