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湊side
侑舞の話が終わり、今度は自分が話す番
なんと切り出せばいいのか悩んだ
だが、思っていたことを伝えるしかないんだと割り切って話しだした
侑舞にはまずはじめに伝えなきゃいけないことがある
「最初にこれだけは言っておくね。俺は、侑舞に自由を奪
われたとか、迷惑かけられたと思ったことも、感じたこ
ともないよ」
湊の言葉に侑舞から「そんなはずない。嘘だ」という声が上がった
「嘘じゃないよ。侑舞から見たらそうじゃなかったのかも
しれないけど、俺は俺なりに好きなように生きてきた
よ。ずーっとね」
今言ってることに偽りはない
本当に好きなように生きてきた
自由は奪われてなんてない
今の生活が苦痛だなんて1度も思ったことはない
今の関係がいいものでないとしてもだ
「俺は侑舞から逃げてた。侑舞がさっき言った通り、俺は
父さんが死んでから侑舞との距離感を変えた。
意図的に俺が変えたんだ。表面上は侑舞のために。
でも、本当は自分自身が傷つかないために侑舞の変化
にあえて気づかないふりをした。侑舞の心に踏み込も
うとしなかった」
「俺ね気づいてたんだよ。侑舞が俺に迷惑かけまいとして
たことも、体調が崩れたり入院するたびに申し訳なさそ
うにしていたのも。全部、全部わかっていて気づいてい
ない振りをしてきた。俺が踏み込めば、侑舞は俺から離
れるだろうって思って。何かあったときに対処できる関
係を保つために踏み込まなかった。お互いにとってそれ
が一番だと勝手に決めつけていたんだ」
侑舞は何も言ってこない
さっきと完全に逆の状況だ
「今回の件は俺のせいだと思ってる。だから謝らせてほし
い。侑舞を死にたいと思うとこまで追い込んでしまって
ゴメン。謝って許されることじゃないことは分かって
る。本当にごめんね……」
そこまで言うと湊の目から涙が溢れてきた
「俺が……!俺が4年前のあの日から逃げなかったらこん
なことにはならなかったのに。守りたいって言いながら
1番苦しめてたのは俺だった。俺の弱さが侑舞を追い詰
めた」
その後湊の口から発せられるのは、「ごめん」という謝罪の言葉だけだった
そんな兄の姿に、侑舞の目からも涙が止めどなく流れ続けていた
そこからはただ静寂だけが続いた
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