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碧海は講義がある教室へと向かいながら姫宮に電話をかけた
忙しいのか、電話に応じる気配がない
諦めて、後で掛けなおせばいいやと電話を切ろうとしたとき、向こうから声が聞こえてきた
「もしもし???」
「あ、もしもし多賀です。先日はどうも」
「おー! 多賀君か!! こちらこそ先日はとっても助かり
ました。ありがとうね。それで、どうかしたの??」
「実は、湊と侑舞くんの話し合いの件でちょっとトラブル
がありまして。俺もさっき湊から聞いたんですけど、ど
うも上手くまとまらなかったようで」
「あちゃ~。ダメだったのか」
姫宮先生はどこか分かっていたような口ぶりだった
まぁ俺なんかより長いことあの兄弟のことは見てきているのだから察しがつくのかもしれない
「はい。どうやら湊が謝り倒してしまったようで、それに
侑舞くんが何も返せずに湊がそのまま終了させたみたい
です」
「うーわ。まじか。まぁでもその状況だったら話し合いも
強制終了になるわな……。うーん、どうしたもんかね
とかもう1回話し合いの場を作らないと」
「……それなんですけど、ちょっと難しいかもしれませ
ん」
俺の言葉に姫宮先生は不思議そうな声を出した
「んーと、それはどうして?」
「今朝のことなんですけど、湊が朝食とメモだけ残して、
侑舞くんと顔を合わせることなく家を出てきてしまった
らしくて……」
「んんん。まじかぁぁぁぁあ」
「まじです。もっと言うと、湊なんですが家を出ることも
考えてるみたいなんですよ」
「は!? いやいやいや!!!! それはマジでヤバイ
今離れるようなことがあれば、関係の修復はかなり困難
になるわよ!!?」
姫宮先生はやはり俺と同じ考えのようだ
「そうなんですけど、当の本人がもう訳の分からない方向
に走っててどうしようもないんですよ。しかも先輩が変
に味方になってるので余計に」
「先輩って??」
「あー、姫宮先生は会ったことないんでしたっけ? 湊と
俺と仲のいい先輩がいるんです。その人湊のことが大好
きで、うーーん何て言えばいいんですかね……湊のこと
しか見えてなくて全体像を掴めてないもんだから、変に
擁護しやがるんですよ。いやまぁ、味方はいた方がいい
んですけど、悪影響を出しそうというか……そんな感じ
です」
「なるほど〜。まー、なんにせよ対策を練らなきゃね
ちょっと考えるわ」
「はい。一応俺は侑舞くんとの食事の件を早めて、今週末
に行けるように調整かけて話ができるようにしてみま
す」
本当はもっと体調が落ち着いてからが良かったがそんなこと言ってられない
「うんうん。そうしてもらえると助かる。こっちも明日辺
りに連絡して早めにカウンセリングの予定を組むわ」
とにかくやれることをやろうと決め、こまめにやり取りをすることを約束して通話を終えた
姫宮先生が言った通り、とにかくやるしかない
このままでいいはずがないんだから
碧海は2人のことを思い浮かべると、まずは侑舞くんとの食事の件を何とかしなければと思案しはじめた
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