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湊は侑舞の問いに答えず、黙ったままだった
だが暫くすると閉ざした口を開いた
「俺はこの家をしばらく出ようと思う」
その言葉に侑舞は一瞬茫然とした
何で分からないのだと怒りさえ湧いた
「……もう本当に何なの? いくら何でも酷すぎない?
それが本当に正解だって思ってるの!?」
「じゃあ、どうすればいいんだよ!!! このまま一緒に
いたって、苦しいだけだろ!!? 俺だってどうしたら
いいのか、もう分んないんだよ!!」
侑舞の言葉に湊が叫んだ
侑舞にとって、湊がこんなに感情をぶつけてくるのは初めてのことだった
でも侑舞も引き下がれない
これが間違った選択だと侑舞は分かっているからだ
分からないから離れたらいい?
ふざけんな
結局逃げるってことだろ
どうしたらいいか分からないのは兄さんだけじゃない
それでも動かなければ何も変わらないんだ
また後悔するなんて俺はごめんだ
「だから! このままじゃダメだから話し合おうとしたん
じゃないか!! それを全部理由をつけて逃げたのは兄
さんだろ??? 俺は何度も話そうって言ったよ!!」
どんどんヒートアップしていく2人の間に碧海が割って入り引き離した
「とりあえず湊も侑舞くんも落ち着いて。怒鳴りあっても
しょうがないでしょ? 家の中に入って、少し冷静に話
をしよう」
そういう碧海にさえ突っかかってきそうな2人に、1回深呼吸をするように言い、玄関からリビングへと移動させた
リビングに行き、暖房だけつけると絨毯の上に3人とも座った
「さてと、じゃあ話し合いをしようか」
碧海がその場を仕切る形で話し合いが再開した
「んで、湊は結局家を出ることにしたんだ?」
「そうだよ。1回離れてお互いにゆっくり考える時間が必
要だと思ったから」
「侑舞くんは湊の意見を聞いてどう思う?」
「たしかに兄さんが言った通り、考える時間は必要だった
とは思う。でもだからって離れるのは違うと思う。
特に俺たちの場合は状況が状況だし、今離れたらきっと
関係の修復は難しくなるはず」
「そうだな。俺もそう思う。湊の考えも分かるけど、まず
は侑舞くんに相談すべきでしょ? 家族なんだから」
湊は碧海の言葉に俯いてしまった
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