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植物園の中に入るとそこには誰もいなかった
この植物園は紫陽花が美しいことで有名なので、時期でない今は人が来ないのかもしれない。俺はじっくり見たい派なので人がいないのは有難い。
2人きりなので好きなようにあっちをみたりこっちをみたりして満喫した
気づけば店を離れてから1時間以上が経過していた
あまり遅くなったら侑舞が何かあったのではないかと心配してしまうだろう
それに俺も侑舞の体調が心配だ
まだ病み上がりだし、あまり1人にしたくない
「先輩、そろそろ帰りません? 弟にも何も連絡入れてな
いからそろそろ帰らないと心配します」
俺の言葉を聞いた久我野先輩が、一瞬悲しそうな顔をしたような気がした
驚いて一瞬視線を逸らしてしまって、次に見たときにはいつもの笑顔だったから見間違いかもしれないが……
「そうだね。暗くなってくるし帰ろっか」
そのまま歩き出した先輩の後を早足で追いかけた
帰りの車内は静かだった
いや、行きも俺が寝落ちしたから静かだったけどお互い起きてるのに会話が全くない
てか空気が重くて話しかけづらい
だんだんと見知った道になってきたところで自分から話を振ることに
「久我野先輩って家どこら辺なんですか?」
「んーっとね、あそこ、小久保公園ってわかるかな? あ
そこら辺」
小久保公園の近くなんだー
……って待って?
俺んちと逆方向じゃん
てか俺の家まで来たら遠回りじゃん!
「あの、久我野先輩! 今日は近くのコンビニまででいい
です!」
「え? いいよ、家まで送るよ」
「いえいえ、コンビニまでで大丈夫です。むしろコンビニ
までにしてください」
そう言って手を合わせる俺に久我野先輩は苦笑しながら片手で分かったと合図した
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