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湊side
碧海が走り去っていくのをただボーっと見つめていた
完全に見えなくなった頃に湊もノロノロと動き出す
明日久我野先輩と話ができる
嬉しいはずなのにどこか気持ちは晴れない
暗い気持ちを抱えながら家に向かってひたすら足を進めた
家に帰ると身体は自然といつもと同じように行動しようとする。慣れとは恐ろしいものだと思わず苦笑した。でも、ただやっているだけだからミスを連発してしまう
お風呂の水は溢れさせてしまうし、料理をしてても切り方を間違えたり調味料を入れ忘れたりと散々だった
唯一の救いは怪我をしなかったこと
自分のダメダメさに思わず溜息をついてしまう
「兄さんただいま。何か手伝うことある?」
「わっっ!!」
ガッシャン!!!!!
背後からの声に驚き、持っていた皿を落として割ってしまった
「ちょっ! 兄さん大丈夫!?」
「大丈夫だ……いった!!!」
慌てて破片を集めようとしたら指を切ってしまう
思わず指をおさえると侑舞が走り寄ってくる
「指切った?とりあえず止血してて!俺が片付けるか
ら!」
「でも…………」
「ここはいいから!まずはソファーにでも座って血止め
る!!!」
侑舞に強制的にキッチンから出され渋々血を止めることに専念する
とはいってもそんなに深く切ったわけじゃないし血もそこまで大量に出てるわけじゃないのだが
タオルが近くになかったのでとりあえずティッシュで指をおさえた
おさえながらボーっとしていると侑舞が救急箱を持ってこちらに来た
救急箱を受け取ろうと手を伸ばすが大人しくしててと言われ手を引っ込める
侑舞は傷の状態を確認すると手際よく消毒してガーゼを巻いてくれた
「後のことは俺がやるから兄さんは座ってて」
「でも……」
「いつもやってくれてる分、今日は俺がやるから!」
それにその指だとやりにくいでしょ?ともっともなことを言われ不本意ではあるが、役に立たないのは自覚しているのでお願いすることにした
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