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人避けです
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早く立ち去ってしまいたくて走っていると、追い付かれた。
「ちょっと、待て」
腕を掴まれる。
「なんですか……」
じろっと睨む。
なんかやめてほしい。
「お前、俺が好きなの?」
答えない。ぶんぶんと首を横に振る。
「さっさと次の準備に行けよっ」
「廊下、走っちゃだめだよ」
まっすぐにこちらを見てくる目。
目を合わせたくなかった。なんで意識しているのだろう。
「……はーい。わかりました」
なんだろう。なんか。なんか。
「指輪は、人避けだよ」
ぼそっと耳にかかる息。
「え?」
浜梨は居なくて、俺は呆然と立っていた。
4限は頭に入らなくて、5限も入らなくて、いつのまにか6限だった。
自習だと、委員長の化倉が黒板に書いてプリントをみんなに配布していく。
「化倉」
呼ぶと、小柄な彼――化倉舞踊は、なんだ? と不思議そうにこちらを向いた。丸い顔立ちと少し厚い唇、ぱっつんと揃えられた前髪が、彼の性格を思わせる。
「いや、プリントは任意?」
「うん。そう、らしいけどね」
じゃあ書かなくていいか。
鞄にしまいながら、このもやっとした気持ちにはしまう場所がないなと思う。
そういえば何人目かの誰かのときもそうだった。周りが沢山ついてくるせいで、とてもじゃないがデートなんかしてる場合にならずに放棄していたら別れを切り出された。
あれもなんだか、せめて、もう少しまともに会話をしてからにしてくれと思ったんだけれど、結局うまくいかなくて。
どうせ、外側にしか興味の無いやつしか付いて来ないのに。
なんでだろ……
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