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喧嘩
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隣でバイキンマンが欠伸をした。
ちらっと顔を見ると、欠伸で少し涙目になっている。
可愛い。
「おい」
バイキンマンが僕を見上げた。
「なんだい?」
「この首輪、いつ外すんだよ。ネクタイもくるしい」
「大丈夫だよ」
『可愛いよ』と言おうとしたが、怒られるだろうからやめた。
「アンパンマーン」
遠くで聞き慣れた声が聞こえる。
「弁当食べに行こうぜ」
カレーパンマンか。
「うん、そうだね」
時計を見ると、もう昼食の時間だった。隣では相変わらずバイキンマンが寝ている。
「しょくぱんまんは?」
「職員室。プリント運んでからくるってよ」
「そうなんだ。じゃあ、先に屋上に行こう」
歩いていると、廊下の奥にしょくぱんがいた。だが、しょくぱんまんだけではなかった。
「ドキンちゃん?」
運び終わったのか、しょくぱんまんの手には何もない。
ドキンちゃんがしょくぱんまんの周りをぴょんぴょん跳ねながら話しかけている。
しょくぱんまんも楽しそうに話していた。
「あれ、ドキンちゃんとしょくぱんまんだよね」
カレーパンマンに話しかけるが返事がない。
そのまま2人を見ていると、一瞬しょくぱんまんと目が合った。しょくぱんまんは、すぐに目を逸らしてしまう。
カレーパンマンは、何も言わずに来た道を戻りはじめた。
「か、カレーパンマン!」
急いで追う。
結局昼食は食べず、授業を迎えた。カレーパンマンは休み時間には何処かに行ってしまい、話しかけることができなかった。
しょくぱんまんは自分から僕達の元に来なかった。
「さようなら」
先生はそう言うと、足早に教室を去る。
放課後は、バイキンマンと一緒に帰るので、しょくぱんまんに話しかける。
「僕はバイキンマンと帰るから先に帰ってて」
「わかりました」
いつも通り、にこっと笑うと教室から去っていった。
教室にはまだクラスメートがたくさんいる。
みんなが帰るまで休もう、そう思い、隣で机に突っ伏しているバイキンマンの横で目を瞑った。
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