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???
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思い出すのは、遠い夏の日。
蝉の煩い鳴き声と共鳴する、俺の叫び声。
あの部屋の冷房は壊れていた気がする。
だって、汗が尋常じゃなかったから。
「お前、本当最低だよ……!俺の尻が痛いってことは、お前と本当にやったんだよな?」
ベッドから遠ざかり、怒鳴りつけた。
毛布で性器と尻を隠すが、同時に、その毛布をこの男に投げつけたい気分でもあった。
「どうしてそんなに怒ってるの?」
俺をレイプしただろう目の前の男は余裕そうに下着を履いていた。
恋愛小説などで、こういう場面があると思う。
起きたら、知らない男と裸同士。
俺の場合、知らない男ではなく、よく知るクラスメイトだった。
多分今は、物語でいう事後の場面なんだろう。
鼻に突き刺す汗や、微かに漂う精液の臭い。
よりにもよって、この男とセックスをしてしまった。
そう思ったら、急に泣きたい気分になった。
「……ゔっ」
「しょ、翔ちゃん?!」
収拾が着かない気持ちが、俺の涙腺をこじ開けた。
人前で泣くなんて、男としてプライドが許せない行為だ。
ましてや、加害者の前で。
ただ、今は強がることさえも出来ない。
顔を隠すため、下だけ隠していた布団を今度は全身に包んだ。
「ていうか、翔ちゃん………覚えてないの?」
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実は、10年経った現在も俺はこの事件の経緯を思い出すことが出来ないでいた。
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