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cake or noodle ····or kiss ?
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「だ~か~ら~!俺は言ってやったの!」
「はいはい、分かりましたよ。あんたが偉い!」
ぐでんぐでんに酔っ払ったバイト仲間の酒臭い息に眉をしかめながらタクシーを拾う。
肩に回された手を外しながら何とか後部座席に押し込むと、運転手に行き先を告げて扉を閉めた。
走り出したタクシーを見送りホッと一息吐くと、隣から呆れたような声が聞こえた。
「あんなやつ、その辺の花壇にでも放り込んどけば良いのに。」
「そうもいかないだろ。···さてと、俺も帰ろうかな。竜也は?」
「·····俺も帰る。理央んちに。」
「また?まぁ良いけど、今日は食べるもん何にもないぞ?」
「別に、食いもんに釣られて行ってるわけじゃねぇよ。」
「···なに?なんか言った?」
「···何でもねーよ。」
少し不機嫌そうな声でそう言うと、竜也は俺の頭をベシッと叩いた。
「いってーな!」
「おら、早く帰ろーぜ。途中でコンビニ寄れば良いだろ。」
「帰るって···お前んちじゃねーだろーが。」
ぶつぶつと文句を言いながらも竜也の後ろについて歩き始める。
竜也とは大学に入ってからの友人で、最近はほとんど一緒に過ごしている。
俺が始めた居酒屋のバイト先にもついてきて、今日みたいに一緒に飲むこともしょっちゅうだ。
俺はあまり強くないから2、3杯飲めば充分だが竜也はザル。
今まで酔っ払ったところを見たことがない。
だけどただ一つ、竜也もアルコールが回ったのだと分かることがある。
···帰りにコンビニ寄るって言ってるし、竜也も少しは酔っているのかもな。
先に歩く竜也の背中を見ながらそんなことを思う。
「早く来いよ。」
「ちょ、待てよ!」
俺を待つでもなく、スタスタと歩き始める竜也の横に小走りで並んだ。
こうして肩を並べると、自分の身長に物悲しさを感じるけどな···。
いわゆるイケメンの竜也の隣に並び、少しだけため息を吐く。
クソッ、俺もあと五センチ高ければ、そんなに悪くはないはずなんだ。
····たぶん。
「····理央。」
「あ?なんだよ。」
「駄々漏れ。全部聞こえてるから。」
「まじか!?」
どうやら考えていたことを口に出していたらしい。
時々やらかす失敗に、「ワリーな。」と笑って誤魔化した。
「別に、ちょうどキスしやすい高さで良いと思うけど。」
「よくねーよ。だいたい、誰とキスすんのにちょうど良いんだよ。」
「···鈍感。」
ボソッと呟いた竜也の言葉に食って掛かるが、呆れたようにため息を吐かれてかわされてしまった。
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