アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
裏
-
冬樹君は俺の横に立つと、口を開いた。
「また、京先輩に助けてもらうつもりなんですね」
「助けて、もらう……?」
冬樹君の両手が、俺の肩に優しくのせられる。聞き返すと、冬樹君は冷たい声を放った。
「先輩が中学2年生のときの話ですよ。あのとき、あなたがいじめを大事にしたから、京先輩が嫌な役回りを全部担って解決させた。そうでしょう?」
二度と開けないように、何重にも鍵をかけた箱を、無理やりこじ開けられるような感覚がした。
「一人で解決する力も持たないあなたが、京先輩の隣にいて良いはずがないのに。また罪を重ねるんですか?」
「違う!! あれは、あれは……俺一人じゃ、もう、どうしようも……なくて」
黒いものに体を引っ張られる気がした。
振りほどきたくても、振りほどけない。
「だから、そうなる前にさっさと収めろって話だったでしょ。あなたのせいで、どれだけ多くの生徒がこの学園をやめる羽目になったか」
「ごめん、なさい……」
「誰に謝ってるんですか?」
見たくない光景が、頭の中を何度も何度も何度も流れる。
人々の嘲笑、悪意、罵倒、全てが俺に向かってやってくる。
髪を掴まれ、引っ張られ、抑えられて、外からは見えない場所に暴行を加えられる。
助けを呼んだことが仇になったいじめは、俺から救いの手を伸ばす気力を奪い去った。
意識が朦朧としたまま上っていた階段で、京と出くわした。
俺は今、何をしようとしてた?
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
42 / 569