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悪夢
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『なんでお前みたいなのが五十山さんと一緒にいられるんだろうな』
『幼馴染? 家同士関わりあったんだっけ?』
『うわ、こんな汚ない家と一緒とか五十山さん可哀想』
『男色家家系ですかー?』
『ほら、なんとか言えよ』
『ねー、金扇綴君は言い返せませんよねー? だって全部本当のことだもん』
『オカマみたい。五十山さんも、お前がいなくなったら清々すると思うけどな。ベタベタする目障りなのがいなくなって!』
『だからさぁ……早く死ねよ』
嘲りが聞こえる。俺のプライドも何もかもが粉々に砕かれて、どこかに消えた。
お腹が痛い。頭が痛い。腕が痛い。泣き叫べばガムテープやタオルで口を塞がれ、意識を失えば水をかけられて起こされる。
学校中の誰もが敵に見える。
みんな俺のことを見て、笑って、軽蔑してる。
生きる価値が無い。
俺には生きる価値が無いんだ。
もうどこにも逃げられない。
死ななくちゃ、死ななくちゃ……。
「金扇君!!」
「っはぁ、はぁ、はぁ……」
暗闇が破れるようにして、視界にはベージュの天井が広がった。
音が聞こえるほど心臓が脈打っている。寒いような暑いような変な感じがした。
「金扇君、魘されてたわよ。大丈夫?」
左横には、保健室の先生が心配そうな面持ちで立っていた。
「……はい、大丈夫です」
「あまり、大丈夫そうには見えないわよ。顔色も悪い」
掛け布団の中から右手を取り出し意味もなく頬に触れる。触ったそこはじんわりと汗が滲んでいた。
「今、何時ですか」
「今は5時間目が終わったところ。あと1時間あるから、寝てなさい」
「早退するのは……」
「ごめんね、五十山君に早退させるなって言われてるの。私も、一人で帰るのは良くないと思うわ」
先生はそれだけ告げるとカーテンの外側に消えていった。
俺は右手を頬から額に持っていき、汗を拭うと体を横向きにして目を閉じた。
眠るのは、少し怖かった。
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