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本当の気持ち
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京に半ば軟禁される形で3日ほど部屋で過ごし、ついに体育祭を迎えた。
生徒会の仕事をほとんどやっていないというのに、生徒会メンバーは俺のことを快く迎えてくれた。
「あの後大丈夫だった?」
「五十山に聞いても全然詳細を教えてくれなくて!」
「今日の段取りのことは心配しないで」
「間宮が把握してくれているはずだから、彼に聞くといい」
そう言って生徒会長が目をやる先には、心なしか物憂げな冬樹君がいた。
後ろに立つ京に、背中を押される。彼を見上げると、こくりと一つ頷いただけだった。
体育着に着替えた生徒会メンバーを二人で見送り、校舎3階に設置した得点板の確認や使い終わった道具収納スペースの確保や確認を行った。
以前であれば笑顔で元気良く仕事をこなしていた冬樹君であるが、今日は一言も喋らなかった。
意外にも、彼に対して恐怖感はなかった。
というのも、俺は冬樹君に何をされたかは理解していてもその時の記憶がもうほとんど残っていないのだ。
「中2の時の話をされたらしい」「過呼吸になったらしい」
それはまるで知識のようだった。
京は進んでこの話をしないし、俺も聞かない。
きっと、あまり聞かないほうがいいことなのだ。
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