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年下のライバル
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「体育祭成功を祝して……かんぱーい!!」
「「「かんぱーい!!!」」」
全ての仕事が終わると、毎年恒例の打ち上げパーティーが開かれた。
今日の会場は学園内の街中にある食事処だ。
体育祭終わりで混んでいるかと思いきや、生徒はカラオケに詰めかけているらしい。
学園側が箱庭生活での娯楽として提供しているカラオケだが、やはり大人たちからの印象は良くないので、いかんせん部屋数が少ない。ここに来るまでも文句を言っている生徒を多数見かけた。
「綴先輩っ、ジュース何飲みますか?」
俺の向かいに座った冬樹君がにこやかに聞いてくる。その瞬間横にいた京がさっと俺の前に麦茶を置いた。
「あぁ、綴はあんまりジュース飲まないから」
彼もまたにこやかに返していて、そこに火花が見えたのは気のせいだろうか。
それにしても、京の態度は少し大人気ない。いや、確かに俺は基本ジュースは飲まないのだけど、冬樹君の厚意は受けるべきだった。
肘で京に攻撃すると、京がこちらを見たことに気がついた。しかし無視して、目の前の食事に手をつけることに集中する。
「間宮君、今年の体育祭手伝ってくれてありがとうね! 特に後片付けなんて率先してくれて……助かったよ」
会長が笑うと、冬樹君も笑顔で答えた。
「いえいえ! 得点板の仕事はあまり出来なかったので、自分が出来ることをしたまでです」
会長が満足そうに頷いたのを確認すると、間宮君は俺にも微笑みかけてきた。
あの日のいざこざを教室で解消してから、冬樹君はこんな調子でずっと笑顔だ。
冬樹君が笑っていると俺も嬉しい。
ただ、見つめすぎると……。
ぽっと顔が赤くなるのがわかる。
彼からキスされたことを思い出すのだ。
あれは、冬樹君からすればこれから改めてよろしくという意味で、または俺のことが、す、好きだから意識しろよっていう意味で、本当、深い意味は無くて!!!!
「綴先輩、顔赤くなってますよ?」
「うぇ!?え!あ、うん!」
「はは、綴先輩面白ーい!」
京が隣にいるというのに、なんだか隠し事しているみたいで罪悪感がものすごい。悪いことはしてないよな、別に。
「……体育祭中にそんなに仲良くなったのか?」
京が仏頂面で問いかけてきた。答えようと口を開くが、それより先に冬樹君が答えてしまった。
「そうなんです! 綴先輩とはここでは語れないほどたくさんお話しまして、ね? 先輩!」
「う、うん、そうなんだよ」
「ふーん……」
頬杖をついた京は目を細めて冬樹君を見つめるが、冬樹君はにこにこと俺を見ているばかりだ。京の視線には気がついているだろうが無視している。
京とは時々話をしつつも、専ら俺は冬樹君と話していた。
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