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金扇屋の陰間達
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「いいなー、僕も早く、馴染みのお客さんが欲しいです」
「鶫は可愛いからすぐにできるよ。僕はこの図体だから、デビューしてから3年くらいかかったけど」
「馴染みのお客さんができたら、僕も杜若兄様みたいに簪を贈ってもらうんです!」
「む、そう言う考え方でお客さんと接しているうちは馴染みの方はできないよ」
夜の席に出て客をもてなす陰間といえど、中身はまだ13歳の男の子である。お客さんがつくとかつかないとか、そういうことをゲーム感覚で楽しむのも仕方がない。
「そういう柊兄様は、デビューしてすぐに馴染みのお客さんがいっぱーいついたんですよね!」
鶫は俺の注意など意に介していないようで、鶫はさらに俺の話を持ち出した。
こうして持ち上げられるのはあまり得意ではない。
「そうだよ。一番売れっ子な柊に仕事のコツを教えてもらいな」
そしてなぜか杜若兄様も乗り気である。
「え、えっと……」
「柊は金扇の子供なんだから、最初から馴染みの方がいても何もおかしくないでしょ」
居間の扉が勢いよく開かれたと思うと、椿は眉間に皺を寄せ俺を睨みながらそう言い放った。
「椿兄様おはようございます……」
鶫が顔を引きつらせながら挨拶するも、椿はふんっと鼻を鳴らして茶碗を取りに行ってしまった。
椿は俺と同い年で、同じ日に見世出しを果たした。
金扇屋では、年に1人の陰間しかデビューさせないし、同い年の陰間が出ないように引き取る少年も年に1人と決まっている。本来であれば平成13年度の枠は息子である俺だったのだが、ある日、椿とその母親がこの店にやってきた。
よくある話だった。
『家が貧乏だから、どうか大人になるまでここで面倒を見てほしい』
金扇屋では、21歳になって独立するまで無給で働く代わりに衣食住の全てを保証してくれる。それが目当ての家族は大勢いた。
父はその年陰間をとるつもりはなかったのだが、椿に陰間としての素質を感じて家に招いた。
その時の父の勘は当たっていて、今では椿は朱屋町で2番目に売れっ子の陰間である。
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