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内と外
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陰間は髪をのばすことを義務付けられている。背中ぐらいあるのがベストだが、やはりのびるのが遅い子と早い子がおり、鶫はまだまだだった。
俺は学校に通っている身なので、特別肩につくかつかないかくらいまでで許されている。
「それよりさ、さっきみんなの中に寛太いた?」
朝に寛太には自分から言っておくと約束したので問うと、鶫はこてんと首を傾げた。そうだよな、俺も見ていない。
「まさか、まだ寝てるんですかね!?」
鶫はベッドから立ち上がると、ズンズンと部屋を出て行った。
その後を追うと、寛太の寝ている部屋から「こらー!!!」という鶫の怒声が聞こえる。声変わり途中なのであまり迫力がない。
覗くと、鶫は寛太のベッドの前で腰に両手を置き仁王立ちしていた。しかし、寛太のベッドは2段ベッドの上側だ。
「いい加減起きてよ! 末っ子が起きないとか、どういうこと!?」
「んー……。んー?」
掛け布団の膨らみがもぞもぞ動き、唸り声らしきものが聞こえる。
しびれを切らした鶫はハシゴを登ってガシガシとその塊を揺さぶり、バンバンと叩いた。
「起きろこのバカ!!」
「えー……まだ、時間じゃ、ないですよぉ……」
「時間だって言ってんだろ! また着付けに時間かかって稽古に遅れるぞ!」
「寛太、まだ着物着れないの?」
疑問に思ってそう問うと、鶫は不満げな顔で頷いた。
「そうなんです! ここに来てもうすぐ半年なのに、まだ一人で着れなくて!」
「それはまずいね」
鶫がイライラするのもわかるし、それで椿や空木がさらにイライラして鶫や寛太を叱っている姿が眼に浮かぶ。寛太はそれがあまり効いていないようだが、鶫は結構堪えているのだろう。
今の二人の状況は思っている以上によくないのかもしれない。
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