アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
「可哀想」な子供
-
優しい香りに、暖かな日差し、何かとても幸せなものに包まれている気がした。
額に何かが触れたのと同時に、頭を撫でられている気がする。
夢だろうか。父か? 母か? いや、どちらでも無いような気がする。
うっすら目を開けると、何か人の顎部分が見えて、次の瞬間には俺の目を覗き込むようなスッキリした目元が眼前に映し出された。
「……京?」
「おはよう」
心地よい低音が鼓膜を震わせ、少しくすぐったいような気持ちになる。
「鍵開けたまま寝るなんて、不用心にもほどがあるぞ」
朝一番にお説教か。なんて思いつつ、久しぶりのせいかそれすら愛おしかった。
「入った俺も俺だけど……」
そう言って、京はぽりぽりと頭をかく。
「昨日、具合悪そうだったけど、大丈夫?」
声だけでわかったなんて、やっぱり京はすごいなぁ……。
呑気にそんなことを思った。
ゆっくり起き上がると、かけていなかったはずの掛け布団がずるりと落ちた。パジャマにもなっている。
「もう大丈夫」
「本当に?」
「本当」
昨日の靄が嘘のように、頭は爽快だし胸の不快感も消えていた。
それはもしかしたら、京のおかげかもしれない。
俺はようやく微笑んだ。
「ただいま」
「おかえり」
京が俺の横に座り、手をとってくる。そして優しく抱きしめられた。
京の肩に頭を乗せて、押し付けるようにグリグリしてやった。
「あっちでの話、聞かせてよ」
京がそう言うので、俺はコクリと頷く。
なんて、幸せなんだろう。
この人だけを見ていられるのは、なんて……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
83 / 569